ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

はてなダイアリーから移行。元は読書メモ、今はツイッターのログ置き場。

2008-01-01から1年間の記事一覧

『クラバート 謎の黒魔術』(2008)

新宿のシネコン「バルト9」でやっていた「ドイツ映画祭2008」の最終日に、『クラバート』を観てきた。言わずとしれたオトフリート・プロイスラー原作のファンタジー。 10時半開幕。この映画館には初めて行ったが、座席番号がなく四角が並んでいるだけの画面…

11月、歩く

秋は鼻の奥の痛みとともにやってくる。いつもそう。 不思議なことだけれど、鼻の痛みは視覚に影響を及ぼすのだ。意識が眉間のあたりに集中し、気がつくと、何かをじっと見つめていたりする。 鼻の痛みを、目に飛び込む色でそらす。澄んだ秋の空気を吸い込む…

Wir sind Helden のユーディット・ホロフェルネス

昨日のエントリーで名前を挙げた、Wir sind Heldenのボーカル(作詞作曲も)Judith Holofernesは、もちろん芸名だろう。 旧約聖書外伝、ユディト記の話。アッシリア王ネブカドネザルに派遣された将軍ホロフェルネスに包囲された町ベツリア。そこに住む敬虔で…

Wir sind Helden:Sa Itte Miyo

サァ イッテミヨウアーティスト: ヴィア・ジンド・ヘルデン出版社/メーカー: インディーズ・ハウス発売日: 2008/05/14メディア: CD購入: 1人 クリック: 29回この商品を含むブログ (8件) を見るドイツ語を習ったり教えたりしている方々にはおなじみであろうWi…

吉田秋生『海街diary2 真昼の月』(2008年10月、小学館)

海街diary(うみまちダイアリー)2 真昼の月(フラワーコミックス)作者: 吉田秋生出版社/メーカー: 小学館発売日: 2008/10/10メディア: コミック購入: 30人 クリック: 125回この商品を含むブログ (256件) を見る2006年から始まった連載の、単行本2冊目。いい話…

志村貴子『放浪息子 8』(エンターブレイン、2008年11月)

放浪息子 (8) (BEAM COMIX)作者: 志村貴子出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2008/10/25メディア: コミック購入: 11人 クリック: 46回この商品を含むブログ (131件) を見るうーむ、にとりん…。こういう展開かー。 最後の2話、タイトルが「堰」と「決…

森真一『ほんとはこわい「やさしさ社会」』(ちくまプリマー新書、2008年1月)

ある種の「やさしい」人とは、傷つくことを恐れて自己防衛する人間であることは、それはもう自分を振り返ってみても、そうだ。そして、あの人は無神経だと感じつつ、そのような人が放つ、これもある種の魅力に、あこがれを感じつつ傷つき、そしてまたあこが…

清野智昭『中級ドイツ語のしくみ』(白水社、2008年9月)

先日妻が、電車のなかで隣の人の読んでいる本をちらっとみたら、ドイツ語の参考書のようだった、と言う。「副詞は文の主語になれない」と書いてあり、*Wo ist hier? とか*Wann ist jetzt? とは言えない、という説明があった、と(盗み見で、よくそこまでチェ…

高橋康典『マイスターのドイツビール案内』(2007年8月、幻冬舎ルネッサンス)

ちょっと前に、やれやれ金曜日だ、と一息ついたばかりだと思っていたら、気がつくともう金曜日になっているではないか。2、3日ほど気絶していたとしか思えない。40歳を過ぎると、人生早送りなのか。 さて、アルコールは弱いのだが、ドイツビールの本は楽…

吉村正和『フリーメイソン』(講談社現代新書、1989)

講談社「ベスト・オブ・ベスト・フェア2008」とのことで、本屋に並んでいた。啓蒙主義を含めた17、18世紀に関する勉強として、読む。以下、メモ。 ・ドイツに最初のロッジが創設されたのは、1737年。ドイツでのフリーメイソンは、啓蒙主義とほとんど同じもの…

吉井仁実『現代アートバブル』(光文社新書、2008年9月)

現代美術を専門とするギャラリーを開いているギャラリストの、ギャラリストの視点から現代アートを紹介する本。タイトルに「アートバブル」なんてついているけれど、中身は今日のアート・マーケット隆盛に批判的というわけではない。 芸術、この場合は造形芸…

青木さん家の奥さん

昨日、南河内万歳一座の内藤裕敬作・演出・出演の芝居、『青木さん家の奥さん』を観てきた。「関東学院大学創立125周年記念」と銘打って、関東学院大学の金沢八景キャンパスにある「ベンネットホール」(りっぱなホールだ)にての、1日のみの公演。出演は、…

白井恭弘『外国語学習の科学』(岩波新書、2008年9月)

授業が始まって電車に乗るようになると、新書がたくさん読める。新書は通勤のお供。文庫で小説を読んでいると、乗り換えで細切れになっていらいらするのだが、その点新書は基本的に「情報」だから、大丈夫。 副題は、「第二言語習得論とは何か」。「第二言語…

怖いことだなあ

・中山成彬という政治家が、「失言」で大臣を5日で首になった。 ・「日本は単一民族」。 ・成田空港反対派住民は「ごね得」であり、「戦後教育が悪かった」。 ・日教組は「ガン」であり、日教組の強い地域は学力が低い、それを確認するために学力テストを提…

『建築家は住宅で何を考えているのか』(PHP新書、2008年9月)

建築家は住宅で何を考えているのか (PHP新書 545)作者: 難波和彦,山代悟,東京大学建築デザイン研究室,千葉学出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2008/09/13メディア: 新書購入: 2人 クリック: 11回この商品を含むブログ (16件) を見る ある住まいに一定程度…

立川談春『赤めだか』(扶桑社、2008年4月)

赤めだか作者: 立川談春出版社/メーカー: 扶桑社発売日: 2008/04/11メディア: ハードカバー購入: 30人 クリック: 195回この商品を含むブログ (295件) を見る 前に談春の落語を聞いたんで、本屋に並んでてちょっと評判になっていたこの本を読んでみた。初出は…

中野京子『名画で読み解く ハプスブルク家12の物語』(光文社新書、2008年8月)

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)作者: 中野京子出版社/メーカー: 光文社発売日: 2008/08/12メディア: 新書購入: 7人 クリック: 50回この商品を含むブログ (48件) を見る ヨーロッパ、特にドイツ語圏の歴史を知る上でハプスブルク家…

誉田哲也『武士道シックスティーン』(文藝春秋、2007年7月)

武士道シックスティーン作者: 誉田哲也出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/07/01メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 85回この商品を含むブログ (159件) を見る武士道セブンティーン作者: 誉田哲也出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/07メディア: …

門倉多仁亜『タニアのドイツ式キッチン』(ソフトバンク クリエイティブ、2008年9月)

タニアのドイツ式キッチン―合理的であたたかな、料理と台所のつくり方作者: 門倉多仁亜出版社/メーカー: SBクリエイティブ発売日: 2008/08/29メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブログ (8件) を見る 以前紹介した、『タニアのドイツ式…

西江雅之『異郷日記』(青土社、2008年5月)

異郷日記作者: 西江雅之出版社/メーカー: 青土社発売日: 2008/04/24メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 14回この商品を含むブログ (10件) を見る 高校のころ、学校の先生に勧められて、朝日カルチャー・センターで開講されていた西江雅之の講義を受けに行…

アダム・ラップ『きみといつか行く楽園』(徳間書店、2008年5月)

原書タイトルはLittle Chicago(2002)。著者のアダム・ラップは1968年にシカゴで生まれる。劇作家、小説家であり、映画監督や音楽なども手がけているようだ。代田亜香子訳。きみといつか行く楽園作者: アダム・ラップ,代田亜香子出版社/メーカー: 徳間書店発…

荒井良二『たいようオルガン』(2008年9月、偕成社)

ある仕事で忙しくしていて、ようやく一段落、と思ったら持病のぎっくり腰に見舞われた。 家でトイレと食事以外はひとところにじっと横になったまま過ごしていると、時間が止まる。いや、朝起きて気がつけば夜になっているのだが、脳内活動はよどんで動かなく…

展覧会いくつか。

千葉の千倉で家族の夏休みを過ごし、家に戻ってやれやれ、落ち着いたところで書斎に入ると、床に積み上げた本や雑誌が雪崩を起こしていた。机の上は出かける前と同じ状態とはいえ、書類やこまごまとしたモノが雑然と積もり、キーボードの幅の分だけ表面が見…

金井美恵子『昔のミセス』(幻戯書房、2008年8月)

昔のミセス作者: 金井美恵子出版社/メーカー: 幻戯書房発売日: 2008/08/01メディア: 単行本 クリック: 17回この商品を含むブログ (46件) を見る新刊を心待ちにする作家のひとり、金井美恵子のエッセイ集。版元は、評判の幻戯書房。金井久美子装幀・造本・装…

「國文學」誌8月臨時増刊号(學燈社)(2008年8月)

いま、「子どもの本」あるいは「児童文学」を語るのは、ちょっと難しい。それはもちろん、恐らく1970年代から始まる「大人」の「子ども化」の進行が行くところまで行っていること(サブカルチャーのメインストリーム化がそれと平行している)と、ケータイや…

『崖の上のポニョ』を観た

とりあえず、観たということのみ記す、っていう感じである。なんだかすごいのだが、観たばかりではうまく言語化できない*1。 悪夢系。ストーリーは崩壊気味。登場人物(?)たちにフィクションとしてのリアリティがない。母親の暴力的な無謀さの意味が不明。…

グリム童話、最古の日本語訳、新発見

岩波「文学」誌2008年7,8月号(第9巻、第4号、2008年7月25日発行)所収の論文、府川源一郎「アンデルセン童話とグリム童話の本邦書訳をめぐって −明治初期の子ども読み物と教育の接点−」は、著者がこれまで知られていなかったグリム童話とアンデルセン童話…

松永和紀『メディア・バイアス』(光文社新書、2007年4月)

メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)作者: 松永和紀出版社/メーカー: 光文社発売日: 2007/04/17メディア: 新書購入: 39人 クリック: 304回この商品を含むブログ (129件) を見る評判は聞いていたものの、読みそびれていた本。 食、環…

マナー?

エスカレーターの片側に寄って立ち、歩く人のためにもう片側を開けておく。この「マナー」(あるいは「ルール」)がおそろしく徹底的に定着したのには、明確な理由がある。それが、強者(=マジョリティ)のメリットとなるからだ。強者のみ、の。 子どもを連…

宮川健郎『現代児童文学の語るもの』(NHKブックス、1996年9月)

現代児童文学の語るもの (NHKブックス)作者: 宮川健郎出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 1996/09メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (9件) を見る日本の「現代」児童文学の歴史を、いくつかのユニークな切り口でたどる。読了後、頭…