ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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マナー?

エスカレーターの片側に寄って立ち、歩く人のためにもう片側を開けておく。この「マナー」(あるいは「ルール」)がおそろしく徹底的に定着したのには、明確な理由がある。それが、強者(=マジョリティ)のメリットとなるからだ。強者のみ、の。
子どもを連れていれば、すぐわかる。今ではさすがにあまり経験しなくなったが、子どもと手をつないで並んで乗っていると、さも迷惑だという顔をしつつ、子どもを押しのけて行く人間がいる。本来エスカレーターの恩恵を受けるべき、たとえば大きな荷物を持っている人、しっかりとした支えの必要な人(自分で手すりをつかみ、かつ隣で支えてくれる人がいる、そんな人、老人もそうだ)、小さな子ども、それらはこの「マナー」の前では、邪魔者となってしまう。
公共の場で「マナー」や「ルール」というとき、まず考慮されるべきは、いわゆる社会的弱者ではないのか。しかし現実にこの社会では、弱者のためのインフラが、強い者たちに占領されている。電車が着いてエレベーターに元気な男たちが駆け足で殺到し、ゆっくりと歩いてきた年寄りたちが、満員で乗れず、のぼっていく箱を見上げる。車いすやベビーカーのためのスロープの横で、車いすやベビーカーが大勢の人の通り過ぎるのを待っている。車に車道を追い出された自転車が、歩道で歩行者を蹴散らしていく。
オリンピックにかこつけて中国の人々の「マナーの悪さ」をおもしろおかしく伝えていたマスコミの人たちさあ、ぼくらは彼らを笑えるのかなあ?
ああ、えらそうに書いてしまった。こういうのは、自分にも返ってくるのだ。でも、きのう歩道を歩いていて自転車につっこまれた(肩をぶつけられたよ)ので、ちょっと怒っているのだ。