ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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展覧会いくつか。

千葉の千倉で家族の夏休みを過ごし、家に戻ってやれやれ、落ち着いたところで書斎に入ると、床に積み上げた本や雑誌が雪崩を起こしていた。机の上は出かける前と同じ状態とはいえ、書類やこまごまとしたモノが雑然と積もり、キーボードの幅の分だけ表面が見えている。やらねばならぬことも積もっているのに、旅行から帰ったら手をつけはじめるつもりが、この惨状を見てつもりで終わり、何もする気が起きぬ。
今月これまでに行った展覧会のメモ。

東京国立博物館・平成館にて「対決 巨匠たちの日本美術」展。7月8日から8月17日まで。5週目に行く。見慣れていない日本美術だが、これは見せ方のおもしろさ抜群、対決メンバー最強揃い、で、たいへん楽しく鑑賞。
運慶vs快慶、快慶の地蔵菩薩立像(東大寺)の伸びやかな気品がよい。雪舟vs雪村、雪村の風涛図はドイツロマン派、フリードリヒだ。永徳vs等伯、長次郎vs光悦は、ふむふむ、と。並べると違いがわかって、おもしろい。宗達光琳、見応えあり。風神雷神は両方とも最終週のみの展示で見られなかったが、宗達の「蔦の細道図屏風」がほんとうにすてき。金と黒の大胆な画面構成に圧倒される。「狗子図」かわいい!
仁清vs乾山、ハデハデ対決だが、やっぱりハデにも違いあり。円空vs木喰は、よくわかりません。円空の方が好み。円空の何体かの所蔵が「埼玉・谷下自治会」とあって、なるほど、と。大雅vs蕪村は、疲れてきてちょっとスルー。若沖vs蕭白、これもすごい。若沖の「仙人掌群鶏図襖」、にわとりの迫力に圧倒される。蕭白の仙人たち(「群仙図屏風」)も異様でおもしろい。この対決は圧巻だった。応挙vs芦雪、芦雪の「虎図襖」の虎が目に焼きついて放れない。一種マンガ的デフォルメで、200年以上前のものとは思えない。歌麿vs写楽、鉄斎vs大観は、疲れてスルー。

・上野の国際子ども図書館にて、「チェコへの扉 子どもの本の世界」展示会。1月26日から9月7日まで。チャペック兄弟が日本では有名だが、それ以外にも魅力的な作品がたくさんあるようだ。こういう展示会だとどうしても絵の部分しか見られないから、いきおい絵本や挿絵に目が向く。パツォウスカー、トゥルンカなど、とてもいい。「チェコ出身で他国で活躍した作家」コーナーに、吉原高志先生が訳したプロハズカの『およげ、ぼくのコイ』が並んでいる。となりにはプロイスラーがある。別に「カッパ? チェコの水の精」というコーナーがあり、プロイスラーの作品の基盤が伺える。図録は頼み中。

Bunkamuraザ・ミュージアムにて、「青春のロシア・アヴァンギャルド シャガールからマレーヴィチまで」展。6月21日から8月17日まで。やっぱりマレーヴィチがいいのだが、もうひとつ、ニコ・ピロスマニをたくさん見られたのが収穫だった。本名はニコライ・アスラノヴィチ・ピロスマナシヴィリ。ロシア・アヴァンギャルドによって「発見」された、プリミティブ・アートの画家。いまのグルジアトビリシの人だ。ピロスマニの絵を見ている今、グルジアでは戦争が起こり、多くの人が死んでいる。コーカサス回廊の国、キリスト教国(グルジアという国名は、聖ゲオルギウスから。アメリカのジョージア州と同じ)、そしてヨシフ・ビサリオノヴィッチ・ジュガシヴィリ、つまりスターリンの出身地。
この展覧会の図録は、よくできている。デザインも含めて。