ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

はてなダイアリーから移行。元は読書メモ、今はツイッターのログ置き場。

文学

『ロビンソン・クルーソー』(武田将明訳、河出文庫)

ロビンソン・クルーソー (河出文庫)作者: デフォー,武田将明出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/09/03メディア: 文庫 クリック: 10回この商品を含むブログ (152件) を見る一人称が「ぼく」だったり、フライデーが「イケメン」だったり、「・・・、な…

クライスト『ミヒャエル・コールハースの運命』(岩波文庫)

文化の日にドイツ文化センターで行われた、多和田葉子のクライストに関する講演会に行った。多和田葉子は不思議な風通しの良さを感じさせる方だった。小説と違和感がない。 本棚から岩波文庫の『ミヒャエル・コールハース』を取り出して、行きの電車の中で読…

ル=グウィン『ヴォイス』(谷垣暁美訳、河出文庫、2011年3月)より

わたしはお告げがどうして単純明快な言い方をしないのか―謎めいたイメージやあいまいな言葉の代わりに、「抵抗するな」とか「さあ、戦え」とか言わないのか、訊きたいと思っていた。けれども星々を見ているうちに、それは愚かな質問だと思えてきた。お告げは…

ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』(新潮社、2011年2月)

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)作者: ジュノディアス,Junot Diaz,都甲幸治,久保尚美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/02/01メディア: ハードカバー購入: 12人 クリック: 441回この商品を含むブログ (113件) を見る 前回のダ…

エドウィージ・ダンティカ『骨狩りのとき』(作品社、2011年1月)

骨狩りのとき作者: エドウィージ・ダンティカ,佐川愛子出版社/メーカー: 作品社発売日: 2010/12/25メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (5件) を見る 悲惨な状況、過酷な運命がある。そこで生きる人・生きた人、死につつあるひと・死んだ人…

『流跡』と『母子寮前』

話題の小説をふたつ、読んだ。そしてちょっと微妙なことを書こうと思う。誤解を恐れずに。以下は、感想とも言えないような、極めて個人的な、読後感である。 朝吹真理子『流跡』(新潮社、2010年10月)。堀江敏幸選考の「第20回ドゥマゴ文学賞」授賞作品。作…

梨屋アリエ『プラネタリウムの後で』(講談社文庫、2010年12月)

プラネタリウムのあとで (講談社文庫)作者: 梨屋アリエ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/12/15メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見るさっきニュースを見ていたら、探査機「はやぶさ」の影響でプラネタリウムが大はやり、と。 …

2010年12月11日のツイート

window.twttr = (function(d, s, id) { var js, fjs = d.getElementsByTagName(s)[0], t = window.twttr || {}; if (d.getElementById(id)) return t; js = d.createElement(s); js.id = id; js.src = "https://platform.twitter.com/widgets.js"; fjs.paren…

エドウィージ・ダンティカ『愛するものたちへ、別れのとき』(佐川愛子訳、作品社、2010年1月)

愛するものたちへ、別れのとき作者: エドウィージ・ダンティカ,Edwidge Danticat,佐川愛子出版社/メーカー: 作品社発売日: 2009/12/11メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (4件) を見る作者は1969年ハイチ生まれ。12歳でニューヨークへ移住…

「文藝」冬号と「ミステリマガジン」11月号

千円ほどの雑誌ふたつをせっかく買ったのだから頭からこつこつ読んでいこう、「文藝」には多和田葉子や中原昌也や笙野頼子の小説も出ているし、でも「ミステリマガジン」はどれも連載で途中からミステリ読むのはキビシイ。 「文藝」の「これだけは読んでおき…

「文藝」冬号を買った

河出書房新社の雑誌「文藝」冬号は、文芸賞の発表と、「これだけは読んでおきたいブックガイド2010」という特集。日本文学、海外文学、哲学/思想、ヴィジュアルブックについて、それぞれ二人の評者が対談形式で本を紹介している。 とりあえず海外文学編を読…

種村季弘展

今年は種村季弘の七回忌、それに合わせて(ということなのかどうか)スパンアートギャラリーで「オマージュ種村季弘展」が開かれている(後期「種村季弘の漫遊記」、20日まで。前期「種村季弘とマニエリスム」は終了)。スパンアートギャラリーのオーナーは…

多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』(講談社、2010年7月)

尼僧とキューピッドの弓 (100周年書き下ろし)作者: 多和田葉子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2010/07/24メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 23回この商品を含むブログ (23件) を見る 「でも、そんな話よりも文学の話が聞きたいです。アイヒェンドルフっ…

井上ひさし『一週間』とゲゲゲ

巷はお盆休みという先週末、ちょっと時間を見つけて銀座松屋へ行ってきた。もちろん「ゲゲゲ展」をみるのだ。 そうしたらものすごい混みよう。年配の方々で大いに賑わっていた。ひるんだが、せっかく来たのだからとお代千円なりを払って入場、しかしあまりに…

「WAMPAKU MONOGATARI」

とりあえず採点の第一波を乗り切ることができたので、池袋に行ってジュンク堂やリブロをぶらぶら。外の暑さは限度を超えている。池袋はなぜか妙に暑い気がする。強烈なコントラスト、写真を撮ったらほとんど白飛びして真っ白になりそう。 東口駅前の古めかし…

芥川賞と直木賞

小説についてブログに書くのはなかなか難しい。 専門なのにな。 読み終わってすぐになにか言えるほど反射神経のある頭をしていないし、かといってしばらく寝かしておくと、書くタイミングを逃してしまう。 だからまあ、ここに書くことは読了直後のラフな感想…

G.グラスの新作情報

今日は新刊情報。 ギュンター・グラスの新作は、"Grimms Wörter"。Grimms Woerter: Eine Liebeserklaerung作者: Guenter Grass出版社/メーカー: Steidl Gerhard Verlag発売日: 2010/08/01メディア: ハードカバー クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を…

村上春樹『1Q84 BOOK3』(2010年4月)についてとりあえず

書いておかねば。1Q84 BOOK 3作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/04/16メディア: ハードカバー購入: 70人 クリック: 2,125回この商品を含むブログ (650件) を見るだいぶ前に読み終わってはいたのだ。しかし書いておきたいと思う言葉が浮かん…

坪内祐三『極私的東京名所案内 増補版』(ワニブックス【PLUS】新書、2010年4月)

極私的東京名所案内 増補版 (ワニブックスPLUS新書)作者: 坪内祐三出版社/メーカー: ワニブックス発売日: 2010/04/08メディア: 新書購入: 1人 クリック: 101回この商品を含むブログ (6件) を見る『演劇インタラクティヴ 日本×ドイツ』で明治の演劇改良運動に…

井上ひさしが亡くなった

9日の夜に死去、と。 肺がんで闘病中だということは聞いていたのだが、こんなに早く亡くなるなんて。 学校行事以外で、演劇というか芝居というか、を観た最初の記憶は、『藪原検校』なのだ。たぶん1979年。高橋長英と財津一郎に強烈な印象を受けた。 『ブン…

ニック・ホーンビィ『ガツン!』(福音館書店、2009年10月)

ガツン!作者: ニック・ホーンビィ,森田義信出版社/メーカー: 福音館書店発売日: 2009/10/30メディア: ハードカバー クリック: 19回この商品を含むブログ (15件) を見る『アバウト・ア・ボーイ』のニック・ホーンビィが書いた、YA小説。原著は2007年刊、原…

筑摩書房の今月の文庫よりドイツもの2点

読んでからだと時期を逃すので、とりあえず記す。 まずはちくま文庫、今泉文子編訳『ドイツ幻想小説傑作選 ロマン派の森から』。ドイツ幻想小説傑作選 ――ロマン派の森から (ちくま文庫)作者: 今泉文子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/02/09メディア: …

大江健三郎『水死』(講談社、2009年12月)

水死 (100周年書き下ろし)作者: 大江健三郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/12/15メディア: ハードカバー購入: 3人 クリック: 79回この商品を含むブログ (79件) を見る寝る前に読んでいたら寝付きが悪くなって困ったので、電車の中でこつこつと読んで読…

スティーブンスン『ジーキル博士とハイド氏』(村上博基訳、光文社古典新訳文庫、2009年11月)

ジーキル博士とハイド氏 (光文社古典新訳文庫)作者: ロバート・ルイススティーヴンスン,Robert Louis Stevenson,村上博基出版社/メーカー: 光文社発売日: 2009/11/10メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (13件) を見る言わずとしれた、「ジキ…

川上未映子『ヘヴン』(講談社、2009年9月)

恥ずかしながら、川上未映子を読むのはこれが初めてである。ぐいぐいと読まされた。ヘヴン作者: 川上未映子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/02メディア: 単行本購入: 12人 クリック: 271回この商品を含むブログ (237件) を見るこれは、読者に対して…

金原ひとみ『憂鬱たち』(文藝春秋、2009年9月)

帯に「『蛇にピアス』から6年」とある。その間コンスタントに作品を発表している金原ひとみは、りっぱに「作家」をやり続けている。これはたぶん初めての短編集ではないだろうか。といっても連作形式の作品であり、いわば変奏曲風の仕立てとなっている。 7編…

『英国レディになる方法』(河出書房新社、2004年9月)

「英国・ヴィクトリア朝の女性と子どもの生活誌」。事典式に、豊富な図版で、生活の細部を浮かび上がらせる。すてきな本である。著者は岩田託子と川端有子。英国レディになる方法作者: 岩田託子,川端有子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2004/09/11メ…

ノーベル文学賞はHerta Müller

すでにご存じのことと思うけれど、今年のノーベル文学賞をドイツの作家ヘルタ・ミュラーが受賞した。ドイツ人作家としては、ギュンター・グラス以来10年ぶりのこと。2004年にオーストリアのイェリネクが受賞しているから、ここ10年で3人、ドイツ語で書く作家…

採点でたいへんな日々

とりあえずメモ。 川口マーン惠美『ドイツ料理万歳!』(2009年7月、平凡社新書)を読む。著者はシュトゥットガルト在住25年と。長くドイツで暮らしてきたひとが率直にドイツの食事風景をスケッチしている。自分に自信があり、思ったことをストレートに言う…

筒井康隆とトーマス・マン

もはや眠くて朦朧としているが、今日書いておかないと忘れてしまうので。 朝日新聞の日曜日読書欄に連載されている筒井康隆の「漂流 本から本へ」、12回目の今日は、トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人びと』(1901)を、戦後間借りしていた祖父の家…