ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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クライスト『ミヒャエル・コールハースの運命』(岩波文庫)

文化の日にドイツ文化センターで行われた、多和田葉子のクライストに関する講演会に行った。多和田葉子は不思議な風通しの良さを感じさせる方だった。小説と違和感がない。
本棚から岩波文庫の『ミヒャエル・コールハース』を取り出して、行きの電車の中で読む。吉田次郎訳。戦前の訳業で旧字旧かな。
日本語でも、入り組みつつも勢いのあるクライストの文章はじゅうぶん味わえる。情景描写も人物描写もそこそこに、出来事の連鎖を息の長い文でたたみかけるように記述していく。
大江健三郎の『アナベル・リイ』に登場する小説でもある。「新訳」で文庫にならないかな。