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坪内祐三『極私的東京名所案内 増補版』(ワニブックス【PLUS】新書、2010年4月)

極私的東京名所案内 増補版 (ワニブックスPLUS新書)

極私的東京名所案内 増補版 (ワニブックスPLUS新書)

『演劇インタラクティヴ 日本×ドイツ』で明治の演劇改良運動について触れたのだったけれど、そのせいで明治以降の日本文学史・文化史について感度が少し高くなってしまった。
こういうのは、入り込むと非常に危険である。今のところはちらちらと横目に見つつ楽しむまでに押さえておかねば。
文学散歩、の本である。文学に関わる人々が集まってきてしまう場所、トポスの話、と。
第2章の「芝 紅葉館」がなにより興味深かった。尾崎紅葉福地桜痴と演劇改良、依田学海、長田秋濤、などなど。「場」を基点として、そこで交差する人間たちをたどり、それが文化史の重要な一面を切り取ることになる。
後楽園スタヂアム」の章、ここに小林一三の名が出てくるのもおもしろい。日本の「娯楽」なり「レジャー」にとって、いかに小林の存在が大きいか。
こういう本を持って東京を歩きたいところだが、その余裕が生まれるのはいつになるか・・・。