ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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横浜トリエンナーレに行ってきた

いろいろあって最終日にようやく見てきた、横浜トリエンナーレ
まずは新港ピア会場へ。

入り口からはいると、いきなりヨナタン・メーゼの作品が。危険な香りがする。これは公開パフォーマンスの「残骸」らしい。
実は体調が悪くて、おもしろそうなのもあった気がするけれど、あんまり覚えてないのだ。
ケリス・ウィン・エヴァンスとスロッビング・グリッスルはいいかも。「あ=ら=わ=れ」という作品。片面が鏡、もう片面はパンチングになっている円盤がモビール様にたくさんつるされている。激しい感じの音楽(スロッピング・グリッスル)、マラルメの朗読が聞こえてくる。知覚の小波、という感じ。
ここは会場自体がおもしろかった。入り口から奥に向かって大きく四つの部屋が並び、その中は大小さまざまなブースで仕切られている。入ってまず大きな空間があって、一番奥の突き当たりまで、まん中を一本の通路が貫く。各ブースの入り口はしかしその通路に面しているとは限らず、会場図を見ながら意志を持って向かわないと、目当てのブースには行き着けない。パンフを見ると、空間構成は西沢立衛だ。
次に横浜赤レンガ倉庫1号館へ。いろいろビデオなどあって、チェルフィッシュもあったけれど、もうパフォーマンスはやってないし、ビデオを見ていると一日では回りきれない。あとでカタログを見たら、ハイレッド・センターの「シェルター・プラン」でオノ・ヨーコが身体測定されている映像もあったらしい。
ハンネ・ダルボーフェンの、たくさんのふしぎな楽譜と流れる音楽を楽しみ、ミランダ・ジュライの「廊下」を歩いて人生を想う。8歳の娘もひとつひとつの文章やことばを読みながら進み、渋滞を引き起こす。

カフェ・マディでお昼ごはん。食べていると、海のほうからシャボン玉がたくさん流れてきた。大巻伸嗣のパフォーマンスだったらしい。
食後、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)へ。外に掘っ立て小屋が立っていて、その横で田中泯が野菜を売っている。あとで踊るらしい。

1階、いきなりヘルマン・ニッチュだ。15歳以下は入場不可。娘は係のお姉さんと部屋の外で待つ。ウィーン・アクショニストの大御所だが、あんまり趣味じゃないなあ。聖なるものとグロなるもの。娘、あとで、実はすきまからのぞいちゃった、と。内臓が見えた、だって。
その横の部屋は、勅使川原三郎。並んで待って入場。入ると観客が15人くらい入れるスペースがあり、その先に細長い空間がある。真っ白で、左右の壁にはガラスの破片が一面に刺さり、床はこれもガラスの破片が敷き詰められている。ここでダンスがおこなわれたのだと。インスタレーションとしては、音と、光。空間がきらめく。娘は大いに気に入り、長い間楽しんでいた。
2階、ジョーン・ジョナスはやっぱりおもしろい。もう70歳を越えたのか。
3階、中西夏之。すてき! 渋谷でやっていた展覧会は見損なってしまったが、ここで見ることができた。中西の発言を見ると非常に難解なのだが、しかし作品は圧倒的に美しい。そのギャップを読み解いてみたい。隣はオノ・ヨーコだが、これはあんまり。
マリナ・アブラモヴィッチ、期待していたがちょっとよくわからなかった。マシュー・バーニー、行列ができていてパス。

さて最後に、三溪園へ。まず「横笛庵」にて内藤礼を見る。これは良かった! ニクロム線がぼーっと赤く光るコンロの上に、天井から一本の白い糸が下がっている。温められた空気がその糸をゆるやかに、おだやかにそうっとゆらし、持ち上げ、たゆませる。すでに日が落ちかけていたので、ようく目をこらさないと糸が見えない。なんともいえない静謐感。
古い民家で、ティノ・セガールのパフォーマンスが。畳の上で男性と女性がふたり重なり合ってキスをしている。子連れゆえ、そそくさと退散する。
滝。いきなり霧がもくもくとわき上がり、立ちこめる。中谷芙二子の作品。娘が霧のなかで楽しそうに踊っている。リクツのない人は素直に楽しめるのだ。

ここは、やっぱり内藤礼だった。見れて良かった。
日が暮れた三溪園を後にして、帰路につく。楽しい一日でした。