ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

はてなダイアリーから移行。元は読書メモ、今はツイッターのログ置き場。

谷岡剛史『チェコへ、絵本を探しに』(産業編集センター、2008年11月)

チェコへ、絵本を探しに (私のとっておき)

チェコへ、絵本を探しに (私のとっておき)

チェコ」と「絵本」。この2つの単語が並んだだけで、なんとなくドキドキしてくる。してきませんか?
『ビールと古本のプラハ』は千野栄一先生の著書のタイトルだけど、プラハと建築、チェコとアニメーション、などなど、魅力的な結びつきは数多いのだ。
この本は、神戸で東欧の絵本・雑貨の店「チェドックザッカストア」を開いている著者の、チェコの絵本と古本屋のガイドブックである。
そういう本が出版されるということもちょっと驚くが、読んでみて楽しくて、またびっくり。
装幀も、総カラーで図版や写真たっぷりの中身も、とてもすてきだ。なにより、楽しそうにチェコについて、古本屋について、絵本について語る著者の生き生きとした「買い付け」の様子が魅力的。
ジートゥルンカ、ヨゼフ・パレチェク、クヴィエタ・パツォウスカー、チャペック兄弟。兵士シュヴェイク、もぐらのクルテク、ミーシャ・クリチカ、ダーシェンカ
テレビのアニメ番組『ヴェチェルニーチェク』、カッパのヴォドニーク。
手元にある、チェコの絵本に関する資料は、ひとつは月刊「MOE」2007年10月号の特集「東欧・絵本と雑貨探しの旅へ」。チェコのパートは、谷岡氏によるものだ。
もうひとつは、以前このブログで紹介したことのある、国立国会図書館国際子ども図書館で今年の1月から9月までやっていた「チェコへの扉 子どもの本の世界」展の図録。
この図録に掲載されている、保川亜矢子氏による「千野栄一と古本」という文章のなかに、千野先生はパレチェクと親しく、いつもビールをいっしょに飲む仲だった、とある。
チェコへ、絵本を探しに』では、そのパレチェクを著者が訪ねて話を聞いている。
それと、国際子ども図書館では紹介されていなかったが、この本では大きく取り上げられている画家として、ズデネック・セイドゥルとアドルフ・ホフマイステルがいる。
両者とも子どもの絵本に活躍の場を限定せず、ひろくデザインの分野で活動した人のようだ。絵本も、非常にグラフィカルで、デザイン的要素が強い。そして、それがまた魅力的。
ぼくは新婚旅行をプラハに行ったのだった。もう十ウン年前のことだけれど。そのときはチェコの子どもの本のことはまったく知らなかったから、建物ばかり見て回っていた。プラハはあれからどんな風に変わっただろうか。また行ってみたくなった。