ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

はてなダイアリーから移行。元は読書メモ、今はツイッターのログ置き場。

『三びきのライオンのこ』

 今江祥智作、長新太画『三びきのライオンのこ』。1961年3月、「こどものとも」60号。去年の9月に横浜のそごうでやっていた「ありがとう!チョーさん 長新太展 ナノヨ」展(でいいのか?)に展示してあるのを見つけ、びっくり。なぜびっくりかというと・・・
 これ、小学校2年生の時の国語の教科書にのっていて(たぶん光村図書だ)、読んですごく気に入った作品だった。そして、今考えれば国語の授業の一環だったのだろうけど、これを芝居仕立てにして(お面をかぶって)やってみようということになり、ぼくがライオンの子の一匹であるコロンの役をやったのだった。それ以来、しばらく「コロン」というのがぼくのあだ名になった。4年生の時の先生から「コロンちゃん」と呼ばれていたのを覚えているから、数年はそうだったのだろう。
 中学生になって、長新太にはまった。和田誠的お遊びも大好きだったが、長新太的ナンセンスがおもしろくてしかたなかった。なんじゃもんじゃ博士とゾウアザラシ(今本屋で手に入るやつは1985年から「母の友」に連載されたものだが、ぼくがあの頃読んだのは同じ「母の友」に1974〜76年に連載され、単行本化されたものだ)は、ほんとに「心の友」だった。何か文章書くと、「〜ナノネ」風文体になったりして。『おしゃべりなたまごやき』『ごろごろにゃーん』『ぼくのくれよん』などといった絵本も好きだし、今でも娘と大いに楽しんでいる。
 そして冒頭に戻るのだが、展覧会に行って、ええっ、『三びきのライオンのこ』の最初は、長新太の絵だったのか! と驚いたのだった(教科書のイラストは、たぶん違ってた)。大事にしていた小学校時代の思い出(いろいろ理由がある)と、大好きな長新太が結びついていた!
 ネットで探してみたら、「古本 海ねこ」で、1961年版を見つけた。さっそく注文したが、倉庫に見つからず、品切れのようだ、と。「海ねこ」はオンラインの古書店で、子どもの本をたくさん扱っている。恩師である野村泫先生監修の『ベルリン・コレクション』の詳しい解説があり、たまに入荷もしている。お店をめぐっていくと、本に対する愛情が伝わってくる。すてきなお店。それでたまにサイトを覗いていたら、再び『三びきの・・・』が入荷しているのを見つけ、ついに手元にやってきた。
 「古本 海ねこ」http://www.umi-neko.com/
 登場人物(?)は、ライオンのおかあさんと、その三びきの子ども、ころん、むう、しょぼん。母ライオンは子どもたちに狩りを教えようとするが、子どもたちそれぞれの性格がじゃまをして、「教育」は失敗し・・・、というお話。長新太の絵は、もうほんとに一見子どもが描いたようなもの。しかし構図と色遣いがすごい。狭い画面の中から、アフリカの広大なサバンナが迫ってくるのだ。
 注文した品が届いたという連絡を「海ねこ」にメールしたら、とてもすてきな返事が送られてきた。それも含めて、幸せな買い物でした。