ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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古本屋で手に入れたもの

「古本 海ねこ」というネット古書店は児童書を専門としていて、以前、ぼくの小学校時代の思い出の本である長新太イラスト『さんびきのライオンの子』をここで見つけて買ったのだが、以来、目録を送ってくださっている。
良い店なのだ。
今度の目録4号で見つけて買ったもの。

・『少年探偵團(原名 エミィルと探偵たち)』、昭和9年(1934年)、中西大三郎訳、春陽堂少年文庫。著者名は「エリツヒ・ケストネル」だ。

杉山香織さんの修士論文(「ドイツ児童文学の日本における翻訳の諸問題」平成18年)によれば、1934年に『エーミール』の翻訳が3種類出版されている(中西訳5月29日、菊池重三郎訳6月3日、山本夏彦訳6月4日。ただし菊池訳は英語から、山本訳はフランス語からの重訳とのこと)。だからこの本は『エーミール』の最初の翻訳のひとつ、ということになる。なぜ一度にこれだけ翻訳が出たのかというと、この年に映画版が封切られたから。『少年探偵團』というタイトルは、映画封切り時のもの。

・岩谷小波編『木兎太郎』、明治38年(1905年)、世界お伽噺第70編、博文館

ティル・オイレンシュピーゲル」の翻案。「づくたろう」。「又本篇の挿絵わ、ゲルラツハで出版する、『ユーゲンドビュツヘライ』なる、新お伽噺集に依ったのであります。」と。

・"Eh・ich・zur・Schule・geh lern・ich・das・ABC Ein Bilderbuch für kleine Schulkinder und solche, die es werden wollen von Maria und Kaete Steinkamp".

ABCの本。出版年や版元はクレジットされていない。目録によれば、1925年と。カラーリトグラフがとても美しい。絵はおそらく、タイトルにあるふたりのうちKaete Steinkampのほうだろう。姉妹? 表紙イラストはまったく中身とはおもむきの違うもので、シュールトゥーテを持った新入生ふたりの絵柄、右下に、戦前のグラフィックデザイナーとして有名な Ludwig Hohlwein ルートヴィヒ・ホールヴァインのマークが入っている。なにしろ中のイラストがかわいくてきれいだ。

・「キンダーブック 第8集第9編 〈くるみわり にんぎょう〉(昭和28年12月号)」

茂田井武脇田和、藤城誠治、武井武雄、そして初山滋の絵で語る、E.T.A.ホフマンの「くるみ割り人形」。文は與田準一。そうそうたる画家達ばかり、どれもすてきな絵だ。これは初山の絵。

ぼくはドイツが専門だからドイツものを買うが、目録には日本のものでおもしろそう、楽しそうな本・雑誌がたくさん載っている。こういうのを集め始めたらいろいろと大変そうだ。「古本 海ねこ」のHPはこちら。 http://www.umi-neko.com/