ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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春の一日。


 春休みのあいだ、だいたい部屋にこもっている。今は、7月くらいに刊行予定の本の翻訳を、パソコンにむかってやっているところ。娘も春休みで家にいる。『よつばと!』のよつばのとうちゃん状態である。パソコン2台の配置もよつばのとうちゃんと同じだ。パンツ一丁ではないが。
 近所の川沿いに、娘と桜を見に行く。6分から8分咲きといったところか。ふだんは殺風景な景色も、桜が咲くだけで華やかになる。コガモが水面に浮かび、すぐそこでウグイスが鳴く。娘は桜よりも、道ばたの雑草摘みに忙しい。小さな手の中の、小さなフラワー・アレンジメント。そうかと思えば、生きた芋虫をアリが運んでいるのを見つけて、救出だといってアリから取り上げる。
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 岡崎武志『女子の古本屋』(筑摩書房、2008年3月)に、ネット古書店「古本 海ねこ」が取り上げられていた。注文メールにすてきな文章で返事が来たと思ったら、店主の場生松(ばしょうまつ)さんはもとライターなのだと。海ねこさんに限らず、この本に出てくる女性古書店主たちは、社会の中で人生経験を積んだ上で、生き方として決然と古本を商う道を選んでいる。本に囲まれてはいるがなまくらにしか生きられぬぼくには、みなまぶしく見える。
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 決然たる生き方の女性といえば、『励ます弁当 日本からドイツへ、さらに遠くの国へ』(ランダムハウス講談社、2008年3月)の今泉みね子さんもそうだ。今泉さんは、長年ドイツはフライブルクで暮らし、ドイツの環境政策などを日本に紹介してきた方。この本は、自分の来し方を振り返ったエッセイ集だが、なんと彼女は、ドイツ国籍を取得している。そのいきさつがおもしろい。行動する人なのだ。ドイツで彼女が見てきたさまざまな人間模様が語られる。「異文化」といった抽象的なものではなく、「人」が描かれているのがいい。

 さて、じきに3月も終わりだ。やるべきことは山積みだが、ゆったり過ぎていく春休みの暮らしにそまって、体は椅子の中に沈み込み、固まっていく。