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吉原高志・吉原素子『聞いて読む 初版グリム童話』(白水社、2010年3月)

聞いて読む初版グリム童話―ドイツ語朗読CD付

聞いて読む初版グリム童話―ドイツ語朗読CD付

グリム童話に興味がある方ならば、グリム兄弟が編纂した昔話集は最初の版画出た後も兄弟の手によって改訂がなされ、最終的に7版まで出されたこと、そして現在一般的に読まれているのはこの最終版だということをご存じのことだろう。
その「初版」(1812年第1巻、1815年第2巻)の全訳が、やはり白水社から刊行されているのだが、
初版グリム童話集(1) (白水uブックス 164)

初版グリム童話集(1) (白水uブックス 164)

この本はその中から6編を取り上げて、ドイツ語と日本語の対照形式にすると同時に詳しい説明を添えたもので、最初は1993年に出た。今回はそこに朗読CDをつけた改題版である。
収められているのは、

かえるの王さままたは鉄のハインリッヒ
           ・・・『グリム童話集』第一話
ラプンツェル ・・・妖精物語から昔話へ
ヘンゼルとグレーテル ・・・悪い母親はみんな継母?
いばら姫 ・・・三人のねむり姫
白雪姫 ・・・白雪姫はどうやって生き返ったか?
千匹皮 ・・・近親相姦の昔話?
子どもたちが屠殺ごっこをした話 ・・・うそのような本当の話

巻頭にある「グリム童話への手引き」は20ページ足らずではあるが、グリム童話というものの概略を知るために格好の解説となっている。
ドイツ語にはちゃんと注もついているし、日本語訳と解説を読むだけでも十分楽しめる。
白雪姫なんて、版によって生き返りかたがぜんぜん違ってて、とてもおもしろいのです。
著者・訳者の吉原夫妻は我が恩師。かつてのグリム童話ブームのきっかけとなったのが、お二人の訳した初版グリム童話集だったのだ。