ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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トーマス・ルフ

 「アサヒカメラ」に連載されている「連載鼎談 今日の写真2009」は、写真評論家の倉石信乃と写真家のホンマタカシが毎回ゲストを一人迎えて、新しい写真展や写真集について語るという企画だが、12月号のゲストはトーマス・ルフ
 トーマス・ルフはいわゆるベッヒャー・シューレの第一世代で、1958年生まれ、デュッセルドルフ美術アカデミーでベッヒャー夫妻に師事した写真家だ。1980年代に、巨大なプリントのポートレート作品で世界的に名が知られるようになった。アンドレアス・グルスキーやトーマス・シュトゥルート、カンディダ・ヘーファーらと同門。
 21世紀になって登場したヴォルフガング・ティルマンスなどとは少し違って、かなりアーティスティックでコンセプチュアルな作品が多い。
 今回の来日は、ギャラリー小柳で開催中の「cassini+zycles」展に合わせてものだとか。観ていないのだけれど、記事によると土星探査機カッシーニが撮った土星の写真をNASAのWebサイトからダウンロードして加工した画像なのだそう。つまり自分で撮った写真じゃないのだ。
 ホンマタカシが、

 日本では写真は写真として美術とは別のものとして考えられていて、写真が現代美術に取り込まれることを嫌う傾向があります。(・・・)
 海外でも人気が高い荒木経惟さんや森山大道さんも、写真は美術の一部ではなく、あくまでも写真である、とよく言っています。

というと、ルフが、

 ドイツでは日本とは逆で、美術大学で写真を学んで、美術界で写真を発表していきたいと考えている学生は多いですね。

と。美術大学で学ぶ「写真」は、あくまで美術のなかに属すものなのだろう。これはドイツに特有のことなのだろうか。日本の展覧会で展示されるドイツ人写真家の写真は緻密でコンセプチュアルな作品が多いけれど、やはりこれは伝統というものなのかも。
 ぼくとしては、土星の写真はあんまり観に行く気にならないけれども。