ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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黒田硫黄2冊

家族で外出、遊びに行こうという予定だったのが、いろいろあって中止、家で過ごす。
娘の風邪、回復してきた。まだ咳は続く。なにやらずっと工作してる。たまにくっついてくる。
今日は独検の試験日だ。学生たち、がんばっているだろうか。
勉強や仕事関係の作業をこつこつこなす。
しかし外は気持ち良さそうな天気、家の中に日が差し込んで暖かいのだ。
グレてマンガを読む。
黒田硫黄、8月に出た『あたらしい朝 1』と、9月に出た『大金星』(ともに講談社)。

あたらしい朝(1) (アフタヌーンKC)

あたらしい朝(1) (アフタヌーンKC)

大金星 (アフタヌーンKC)

大金星 (アフタヌーンKC)

『あたらしい朝』はアフタヌーンでの連載、続き物だ。時代は第二次世界大戦、ドイツ人たちのお話し。チンピラ風の若い男ふたり、エリックとマックスが、七万五千マルクの札束がつまったカバンを拾うところから物語が始まる。
金は党の裏金らしい。その金をとりあえず隠し・・・で、話は2年後、海軍に入ったふたり、舞台は海、戦艦の上。
戦艦(通商破壊船、仮装巡洋艦トール)の、昔の少年誌にあったような図解があったり、1942年の海上の勢力図があったりと、わくわくの冒険活劇風スタイルが楽しい。黒田式ミリタリーもの、か。自転車ものでもそうだけど、黒田硫黄はメカ好きだ。
アクションシーンは最高。マンガを読む快楽。
第4話がいい。特に、「愛の証拠は・・・」というあたりのシークエンスは見せる。
ドイツの話だから、ドイツ語なんかも出てくる。艦砲を発射する音Ratsch-Bumとか(これ、Ratschが発射音で、Bumが着弾音だったか。こんなの、どこで仕入れたんだろう)、「傾注」に「アハトゥン」とルビがあったりとか。クリスマスのケーキ、ちゃんと「シュトレン」となってる。たいてい「シュトーレン」となってるんだけど。
でも、隊列を組んで歌を歌いながら日本の道を後進している場面、なにやらヒゲ文字で書かれているがよく見ると日本語だったり、軍人が演説している場面の吹き出しの中に書かれているのは、「Hänschen klein」の歌詞だったり。Heil Hitler! が Hail となっているのはスペルミスだ。
まだ物語は始まったばかり、これからどう展開するのか、楽しみ。
もう一冊、『大金星』は短編集。SF風のもの多し。
小説でもそうだけれど、短編って冒頭でだれかがだれか(orなにかor特異な状況)に出会うところから始まるのが定番だ。この短編集でも、新米サラリーマンの住むアパートの隣の部屋に住んでいるのは獅子舞の獅子みたいなへんな生き物で、イタリアのアマチュア自転車レーサーが魅力的な女の子と出会い、「居酒屋武装条例」が施行された東京の居酒屋で男の子がライフルを振り回す女性と出会い、六本木ヒルズが地球の破滅から人類が生き残る希望を託すロケットで。
そういったワン・アイディアをけっこう地味〜に余韻を引きずりつつ終えるのが、黒田硫黄はうまい。
来年にかけて、『大日本天狗党絵詞』と『茄子』の新装版が出る、とのこと。