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細谷亮太・真部淳『小児がん チーム医療とトータル・ケア』(中公新書、2008年11月)

仕事上の必要があって小児白血病とその治療の実際について調べていたんだけれど、非常に簡単な解説か専門的で難しい本のどちらか、で、なかなかピンとくるのがない。
というところに、新書で登場。さっそく買って読む。
正直言って、小学生の親としては、こういうの読むのはけっこうつらい。うちの子、いま気管支炎で寝込んでるし。
しかし、仕事のことを置いておいても、親として基本的な知識をもっているのに越したことはない、のだろうな。
 第一章 小児がんとはどのような病気か
 第二章 小児がんの種類と特徴
 第三章 小児がんの診断と治癒法
 第四章 標準治療がうまくいかなくなったらどうするか
 第五章 小児がんのトータル・ケア
小児がんは、発生部位や発生の要因が大人のがんとは異なる、ということを初めて知った。大人のがんが粘膜や皮膚の表層から発生する「上皮性の悪性腫瘍」であるのに対して、子どものそれは筋肉・骨・神経・血液などに由来する「肉腫」である、と。
小児がんの発生率は人口一万人に一人強ほど。非常にまれだ。その中で白血病が一番多くて全体の約35%、脳腫瘍が20%、悪性リンパ腫神経芽腫がそれぞれ10%。
現在、七割以上の子どもたちは治る。
白血病のうち、70パーセントは急性リンパ性白血病(ALL)。25パーセントが急性骨髄性白血病(AML)。
ALLの治癒率は、1970年代では10パーセント台だったが、現在では80%台だそうだ。
第五章の、トータル・ケアというところが、医療を受ける側としては知っておくべき/確認しておくべきポイントだろう。闘病というのは、患者にとっては見知らぬ場所を手探りで歩むようなもの。わからないこと、不安、でいっぱいだ。そのときどこに助けを求めればいいのか、大まかな見取り図をもっているだけでも、ずいぶんと救われることがあるはずだ。