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岩田規久男『景気ってなんだろう』(ちくまプリマー新書、2008年10月)

定額給付金。あれだけ騒いで、どうなったんだ。
政局よりも経済政策が優先だと言いいながら、結局内閣はろくな政策も打ち出さずに死に体になっているじゃないか。
アメリカでは「イエス・ウィー・キャン」とか言ってとりあえず前向きなメッセージを政治が発信しているのに、こちらでは大臣たちは景気は弱くなっているようだなんて評論家みたいなことしか言わない。どうなっているのか。
ということで、経済の基本をちょっとでも把握したい。
アンテナに引っかかって読んだのが、この本。

景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書)

景気ってなんだろう (ちくまプリマー新書)

一読して、信頼感のある本だと思った。著者は代表的な経済学者のひとりのようだ。プリマー新書だから、高校生向け、か。とにかく明晰、わかりやすい。
 序 景気とはなんだろう
 1 景気はなぜ良くなったり悪くなったりするのだろうか
 2 設備投資は南極探検のようなものだ!
 3 日本の景気は海外の景気とどう連動するか
 4 お父さんの会社は景気とどういう関係があるのか
 5 いろいろな価格は景気とどう関係するのか
 6 景気を安定させる方法はあるのだろうか
 7 インフレにどう対応するか
景気には消費と設備投資が大きく関わってくること。
2002年からの景気回復期では、それ以前と違って、企業の売上経常利益率と実質賃金の変化が連動しなくなっている。その原因は、今回の景気拡大が製造業主導で、しかもそれが海外での売上高の上昇に負っているから。グローバル経済下の競争の中で、賃金に資金を回すのではなく、設備投資と海外直接投資を増やさざるを得ない。
結果として人件費の抑制、非正規雇用の増加。つまり、マクロの景気とミクロのそれとの乖離。
世界中から借金をして消費する、ブラックホールのようなアメリカ。アメリカから出て行った金は、ふたたび投資としてアメリカに戻る。というのが、ここ数年の状況だった。
しかし、サブプライムローン問題。
日本の2002年からの景気拡大は、外需主導。ここがバブル景気の時との大きな違い。
国外の景気に大きな影響を受ける体質となっている。
では、対策は? 公共投資、減税、金融政策。しかし、その効果を限定する要因もある。
この10年ほど、インフレ目標政策をとっていた国は、成長率が高かった。
ううむ、もともと素養がないので、うまくまとめることができないけれど、おおまかなところはわかった気がする。
著者の判断では、今年の頭くらいから、日本は景気後退に入っていた、と。どうやら、政府も鈍いし、なによりも金融政策を司る日銀の問題が大きいのではないか。