ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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4月のようなわたしの心

 授業で疲れ果て、グロッキーで(死語?)他のことができない。専門の本も読めません。授業中はにこやかに、終わればぐったり。教室に緊張してむかい、楽しくできたとうれしくなり、少しして疲労が押しよせる。ドイツ語にはlaunisch wie der April(4月のように移り気)とか、ein Gesicht wie Aprilwetter(4月の天気のような顔…笑ったと思ったら怒ったり、泣いたり)という言い回しがあるけど、新年度が4月に始まる日本では、天気だけじゃなく人の気持ちも不安定。
 先週読んだもの、一言メモ。

池田清彦養老孟司『ほんとうの環境問題』(新潮社、2008年3月)
 ゴミのリサイクル、地球温暖化といったいわゆる「環境問題」の扱われ方の現状に対して、著者ふたりは批判的である。もちろん、何の行動もしなくて良いと言っているわけではない。その手順が間違っているというのだ。行動に際して、科学はもちろん、政治的、経済的な視点を忘れるな、ということだろうな。

池内了疑似科学入門』(岩波新書1131、2008年4月)
 「トンデモ」系のあれこれと、それが生じる背景、とるべき態度について。新機軸は、分類の仕方。占い・超能力・疑似宗教などを第一種疑似科学、科学を装いつつビジネスを展開するものを第二種疑似科学、「複雑系」に属すがゆえに科学と疑似科学とのグレーゾーンにあるものを第三種疑似科学とする。内容はとくに目新しいものではないし、具体的な事例について詳しく検討することもほとんどない。知っている人にはわかるが、知らない人には何のことかわからないかも、という感じの説明不足があるのも確か。でも、「第三種」のところがこの本のキモ、論争誘発的で興味深し。キーワードは「予防措置原則」。
 「第三種」のところで大きく取り上げられているのは、環境問題。これが池田・養老の本とバッティングしていて、おもしろい。たまたまつづけて読んだだけだけど、頭の中で勝手に論争をさせて楽しむ。ちなみに池内了池内紀の弟だ。宇宙物理学とドイツ文学、どちらも浮世離れしてる。

オノ・ナツメさらい屋五葉 第四集』(小学館、2008年5月)
 新キャラ登場、新展開。前回書いた『GENTE』と、来月刊行予定の初期短編集『Tesoro』、3冊連続発売、と。あ、『さらい屋五葉』も回想シーンが黒かった。

小山ゆう『あずみ 四十五』(小学館、2008年5月)
 ううむ、やっぱり買って読んでしまった。今回は戦闘シーン少なし。

*アラン・ヴィアラ『演劇の歴史』(高橋信良訳、白水社 文庫クセジュ、2008年4月)
 原著は2005年刊。実は最初のところで挫折し、読みかけのまま。なんだかひどく読みにくい。「当然のことながら、演劇は余暇に属し、まったく義務的なものではないのだから、観客が自分たちで抱く興味と自分たちが感じる楽しみに従って反応するという実践のひとつなのである。つまり、演劇とは−その語本来の意味において−実に美しい事象なのだ。その結果、演劇は気取りを前面に出すが、文化がその特定の使い方や主題に興味を示すのである。」(13〜14ページ)。内容はおもしろそうなんだけど。