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林建生・林龍代『ドイツ友情と古都の旅』(ゑゐ文社、2005年10月)

ドイツ 友情と古都の旅―中世のまちめぐり一か月の鉄道紀行 (情報紀行シリーズ)

ドイツ 友情と古都の旅―中世のまちめぐり一か月の鉄道紀行 (情報紀行シリーズ)

 いろいろあってしばらくドイツに行っていないので、本を読んで知識を補うのだが、こういう魅力的な本を読めばもちろん行きたくなり、しかし日々のあれこれ・あくせくのなかでそのもやもやはすぐに消えてしまうのが、自堕落な暮らしの始末に負えないところだ。
 著者は1935年生まれ、1964年から67年まで西ドイツ政府留学生としてベルリン工業大学で計画学を、ケルン大学生涯学習論を学んだ、と略歴にある。夫人も同行しての留学だったと。夫婦二人連れの、ほぼひと月にわたるドイツ旅行記
 ご夫婦とも、行動的かつ人との出会い・つきあいを大切にする方のようで、ドイツに多くの友人を持っており、この本でも20人を超える人々と旧交を温めている。人と会えば、それぞれの生き方、人生が、本を読む者に伝わってくる。それが、この本をとても魅力的なものとしている。
 著者のおふたりともが理系だからか、目の前の事象を非常によく観察している。また、40年前から現在までドイツを見続けているので、その間の変化にも敏感だ。タイトルや装幀だけみると単なる旅行記のようだが、この本が示しているのは、旅というものがこれだけ内容の濃いものになりうるということ、その記録が貴重な情報として価値を持ちうる、ということ。だって、巻末に7ページにわたって「日本語・原語対照」表がついているんだから。これはお気楽な旅行報告記ではありません。