ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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石上純也展

種村季弘展のあと向かったのは資生堂ギャラリー。建築家の石上純也の展覧会である。タイトルは「建築はどこまで小さく、あるいは、どこまで大きくひろがっていくのだろうか?」というもの。あの、今年のベネチア・ビエンナーレ国際建築展(妹島和世がディレクター)企画展示部門で金獅子賞を受賞した、そしてベネチアの展示は内覧会の間に倒れて壊れちゃったという、1974年生まれの石上純也だ。
何列も並べられた長テーブルの上にたくさんの模型が並べられている。それだけなのだが、最初にひとめ見渡すだけでそのバラエティと発想の「飛び具合」を感じさせる。
ぼくに建築模型をみてそれを具体的に語る力はまったくないし、ここで画像を示すこともできないのだが(興味のある方は検索してみてください)、しかし少なくとも、この建築家が単なる空間の加工・変形として建築を捉えているのではまったくない、ということはわかる。どこか、底が抜けている。巨大な建物の中では雲がわいて雨が降り、各階に極小のスペースしか持たない建物がはるかな高さのゆえに上空で宙に消えていき、街の計画案では個々の小さな家が「色の粒子」となって、その連続が色のグラデーションに変化する。
ナンダコレハ、とでも言うしかないが、しかし見る者はそのイメージに巻き取られてしまう。お子さまの発想のような、でもそれだけではないなにかがあるような。楽しいことは確か。
帰りにちょっと、新装オープンの三越をのぞいてみた。お上品であった。紳士の階、なにやら恐れ多くて居心地悪い。お呼びでない、こりゃまた失礼いたしました。はらほろひれはれ。谷啓さんに合掌。