ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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1984年

部屋の片付けをしていたら、小学館が出していた写真誌「写楽」の1984年12月号が出てきた。イチキューハチヨン。

ドイツの児童文学『最後の子どもたち』が「写楽ブックス」として出版された。その著者グードルン・パウゼヴァングへの、訳者高田ゆみ子によるインタビューが、この号には掲載されている。それで捨てずにとってあったのだ。
この作品は、核戦争後の世界を描いたものである。書かれたのは1983年だが、同じ年にアメリカではテレビ映画『ザ・デイ・アフター』が放送されている。
レーガンサッチャー・中曽根の時代。核戦争の脅威が真剣に取り沙汰されていた。ロサンゼルスで行われたオリンピックは、「東側」の国々がボイコット。4年前のモスクワオリンピックで、その前年のソ連によるアフガニスタン侵攻に抗議して「西側」諸国がボイコットしたことの、報復措置だった。
Wikipediaによれば、この年には「新語・流行語大賞」が始まり、新語部門の銅賞が「スキゾ・パラノ」だったのだ。「ニューアカ」の時代、きわまる。ちなみに流行語部門の金賞は「まるきん まるび」だ。今は亡き渡辺和博ポストモダンもバブルもすぐそこにあった。
ぼくは20歳だったが、成人式などには出ず、大学の授業にも出ず、なんだか孤独に本を読んだり映画を見たりパチンコしたりゲーセンいったり大学近くの喫茶店「どんぐりとやまねこ」でだべったりして過ごしていた、ような記憶がある。まあ、今とあまり変わらぬ生活ではある。シンボリルドルフ3冠の年でもあった。
アンドロポフと林達夫ミシェル・フーコートルーマン・カポーティフランソワ・トリュフォーサム・ペキンパー長谷川一夫が死んでいる。
なにかが終わって(「モダンからポストモダン」?)、学問・思想も演劇も映画・アニメも(『風の谷のナウシカ』!)競馬もゲーセンのゲームも(「ゼビウス」がアーケード・ゲームに革命を起こしたのは1983年、この年にファミコンに移植)、新しいものが現れてきている実感があった。アップルが「マッキントッシュ」を発売したのも1984年。
手元の「写楽」、表紙は山本奈津子である。『セーラー服・百合族』の山本奈津子。懐かしさにきゅんとくるのは、パウゼヴァングより、こっちのほうだ。にっかつロマンポルノもそろそろ終わりが近づいていた。