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「挿絵本の世界」(町田市立国際版画美術館)

少し復活したので、友人と町田の国際版画美術館へ。会期が6日まで、駆け込みだった、「挿絵本の世界 本と挿絵のステキな関係」展。
版画(木版画)が15世紀初めに広まり、そして15世紀半ばに活版印刷が登場する。そこから、版画と本との関係が始まるのだ。この展覧会では、挿絵として版画が使われている本たちを、15世紀から現代までたどり展示するものである。
なかなかおもしろかった。
15世紀のインキュナブラはやはり実物を見るとすごくいい。時禱書や聖書、年代記、『神曲』、『阿呆船』。モノとしてのアウラがすごいのだ。そしてデューラーに至ればはるかに緻密・洗練の度を増す。
第2部は19世紀。ケルムスコット・プレスの『チョーサー著作集』が2冊も並んでいる! しかも1冊は豚皮装(うらわ美術館蔵)。豚皮装は48部のみ作られたもので、日本にはほかに東京大学が持っているのが有名。お値段はたしか数千万のレベルではなかったか。これらは紙刷りだが、ヴェラム刷りのものが14部ほど作られて、それはもし売買すれば億の声も聞こえるだろうとのこと。
オーギュスト・ルペールの版画によるユイスマンス『さかしま』も、ほんとうに綺麗な本。
ジョルジュ・バルビエやグランヴィルも、もちろん見て楽しい。
ウォルター・クレイン、ケイト・グリーナウェイランドルフ・コルデコット。グリーナウェイの『ハメルンの笛吹き』は見られて良かった。
ブレイクやドレやビアズリーは定番。ルドンとココシュカを見ることができたのは収穫。
芹が谷公園を散歩しつつ帰途につく。水遊びする子どもたち、トロンボーンの練習をする人、バドミントンしているカップル。駅前のあの雑多で活気のある雰囲気とは違った、のどかな生活がある場所だった。