ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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チェルフィッチュ「ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶」を観た

ラフォーレミュージアム原宿にて、5月7日から19日まで。
ベルリンのHAU(Hebbel Am Ufer)で昨年初演されたもの。チェルフィッチュを観るのははじめて。
地下鉄の明治神宮前でおりて、ラフォーレ原宿へ。少し時間があったから店をぶらぶら見て回るが、なんとなく居心地が悪かった。ふつうのおじさんは微妙に拒絶されている感じ。被害妄想かしらね。
もともと「クーラー」というダンス作品があって、それに前後を加えてひとつの演劇作品とした。ダンスと言っても、基本は役者がずっとしゃべり続ける。そしてしゃべっているあいだ、ずっと奇妙に体を動かし続ける。
奇妙な動きはセリフと無関係かと言えば、そうでもない。我々が他人と話をするときについ言葉と連動して動いてしまう身体、というのはたしかにあり、それが極端に誇張されているというふうにも見える。
しかしその「言葉」は、マイクを使っていることによって(スピーカーの位置のせいか)本来発声されている口とは違うところから聞こえてくるように思える。言葉と体は、ここでも微妙にずれている。
セリフ自体も、内容の空虚さやしつこいほどの反復によって、意味する・意味される的関係から、あるいは語る本人自身から、はぎ取られていく。
しかししかし、それでいて観ていて非常にリアルな感じを覚えるのだ。俺こうやってしゃべってるよな、などと。役柄と役者のキャラクターも実にかみ合っている(ように見える)。空虚さを感じるときはおそらく日常のリアルな場面でも空虚なのだろうし、強いエロチックさを感じさせる場面もある。そのあたりがこの劇団のヒミツなのだろう。
とりあえず、非常におもしろかった。これは小さな空間でライブで見るべき芝居だな。
チェルフィッチュのサイトに稽古風景の映像やトレイラー映像あり。
http://chelfitsch.net/
ドイツでは、"Asien-Pazifik-Wochen Berlin 2009"(「ベルリン・アジア・太平洋週間2009」)の一環として2009年10月にHAUで開催された"TOKIO-SHIBUYA:THE NEW GENERATION"で上演された、と。この催しのパンフレットは非常にクールなのだ(ネットで見ることができる)。幕開けは坂本龍一のピアノコンサートだったらしい。佐々木敦による日本の90年代、「ゼロ年代」の紹介文あり。CHIM↑POMのビデオ・インスタレーションもやった。
初演がドイツで、タイトルがいきなり「ホットペッパー」で始まるってすごい。