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『演劇インタラクティヴ 日本×ドイツ』(早稲田大学出版部、2009年3月)

さて。
おもむろに取りいだしましたるは。
日本とドイツの演劇の。あなたこなたのそれぞれに。たがいに差いつ押さえつの。杯のいきかうようすをば。「いんたらくてぃう゛」なりしとて。みごと写してみしょうぞと。十の役者の奮闘したる。期を劃すべき書物なり。

演劇インタラクティヴ―日本×ドイツ

演劇インタラクティヴ―日本×ドイツ

というわけで、まずは目次をご紹介。

前口上 谷川道子
第一の段 「演劇なるもの」をめぐっての原理的考察
 第一場 「キャラ」で見る喜劇
        ―映画『釣りバカ日誌』と
         ブレヒト/ヴォリヨキの『プンティラ』
                     ・・・中島裕昭
 第二場 人形劇、日本とドイツの場合
        ー儀礼からオブジェクト・シアターへ
                     ・・・尾方一郎
 第三場 ドイツと日本、「近代」と演劇
        ー「国民/国家」が生まれるとき、
         「演劇」とのそれぞれのつきあいかた
                     ・・・本田雅也
第四場 ドイツの日本演劇受容にみる異文化「誤解」
    のダイナミズム
        ー「能まがい」「歌舞伎もどき」が投じた波紋
                     ・・・丸本隆
第二の段 20世紀初頭の〈日本×ドイツ〉演劇の同時代性と差異
 第五場 築地小劇場の成立と展開
        ードラマティストとしての久保栄の位置
                     ・・・谷川道子
 第六場 宝塚歌劇とカイザーの『二つのネクタイ』
        ー堀正旗が残したもの
                     ・・・市川明
 第七場 〈作品の美学〉よりも〈作用の美学〉を!
        ー戦前の日独アジプロ演劇の実践
                     ・・・萩原健
第三の段 現代演劇における〈日本×ドイツ〉の新たなる創造性
 第八場 ベルトルト・ブレヒト井上ひさし
        ー「あとから生まれてくる人々へ」の
         「思い残し切符」
                     ・・・秋葉裕一
 第九場 アングラ演劇の世界的位相
        ー寺山修司のドイツ体験と
         「市街劇」成立をめぐって
                     ・・・大塚直
 第十場 一九九〇年代以降の現代演劇の実践と批評
        ードイツと接する「点」から「面」へ
                     ・・・四ッ谷亮子
後口上 秋葉裕一

編者は、東京外国語大学教授谷川道子、早稲田大学教授秋葉裕一。
谷川道子先生(実際に教えを受けた方なので、敬称をつけます)がこの3月で定年を迎えられるのを機に、定期的に会合を持ちながら皆で一冊の本をまとめよう、ということで、このたび完成したのだ。
目次を見ていただければわかるように、「日本とドイツ」かつ「演劇」をベースのテーマとして、各執筆者がそれぞれの関心事項を持ち寄って、しかし単なる寄せ集めにならぬように、相互の関連を意識しつつ、意見交換をしつつ、まとめたのである。
手前味噌ながら、なかなかおもしろい本に仕上がったのではないでしょうか。
ぜひ、お手にとってご覧ください。