ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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マンガを読む日々

うちにきた3歳児、黒い出目金をみて、
「このおさかな、なんでめがねかけてるの?」
親との親密な、幸せに満ちた世界ののなかに、少しずつ、謎や未知が顔を出す。ほとんどの発話が「これなに?」「なんで?」から始まる、そういう時期なのであった。
そりゃもちろんあたしにとっても世界は謎や未知に満ちているわけだが、しかしそれらの表面にこちらに引き寄せるフックを見出すことはできるだろう、という漠然とした確信(変な言い方だが)がある。手を差し出すための勇気と知識を備えること。それが大人になるということだ。
さて、3月だからマンガを読むのである。どうしてって? 国会で青島幸夫が決めたのだ。
渡辺ペコ『ペコセトラ』(祥伝社、2010年2月)。

ペコセトラ (Feelコミックス)

ペコセトラ (Feelコミックス)

2004年のデビュー作から最近のものまでを集めた短編集。渡辺ペコは、短編がいいような気がする。子ども時代はもちろん大人になっても、人生において大切な変わり目というか、ポイントとなるフェーズがある。そこをすくい取るのが、とてもうまいのだ。ひとつのエピソードが、その人の生き方の全体を垣間見せる。具体的に説明できなくて申し訳ないけれど。
オノ・ナツメさらい屋五葉 第七集』(小学館、2010年3月)。
さらい屋五葉 7 (IKKI COMIX)

さらい屋五葉 7 (IKKI COMIX)

物語の重要なところにさしかかっている。過去が次第に明らかになり、それにつれて主要な登場人物二人の関係・立場が逆転していくのだが、おそらくここが一番、描くのに難しいところだろう。へたに描けば、不自然になる。作者は顔の表情や輪郭線、人物の視線の向きなどを微妙に操作して、読者を導いていく。
第1巻で政が五葉の仲間に引き入れられる場面で描かれた、政とイチとの出会いと、政が剣で闘う場面。そこで生まれた二人の上下関係が七巻で逆転していくのだが、それはやはり政の剣劇場面を契機とするのだ。
ほかにも政が路上で浪人とすれ違いざまに肩をぶつける場面などのように、少しずつ過去のシーンを繰り返しつつずらしていくことで、物語のこの重要な転換点をスムーズにつなげていこうとしている。これからどうなっていくのだろう? どきどき。
西原理恵子毎日かあさん6 うろうろドサ編』(毎日新聞社、2010年2月)。
毎日かあさん 6 うろうろドサ編

毎日かあさん 6 うろうろドサ編

総カラーのマンガである。もう色抜きではサイバラのマンガは成立しないのだ。夫の鴨ちゃんは戦争ジャーナリストだったが、彼女とその子どもたちもアジアのディープな地域に赴き、虫を食い、メコン川をながめ、戦車のうち捨てられたサイパンの海で泳ぐ。「毎日かあさんとその子どもたち」は、まさに"Mutter Courage und ihre Kinder"なのだった。
武富健治鈴木先生 9』(双葉社、2010年2月)。
鈴木先生 9 (アクションコミックス)

鈴木先生 9 (アクションコミックス)

「いくら見ても見飽きん!! お前たちの夏服姿・・・」・・・! すごいセリフだ・・・。鈴木先生がこういうセリフを吐けるように、ループタイや「・・・だぜ」といった口調など、鈴木先生の存在を意図的にアナクロ方向にずらしてある。ちょっといやなんだけど、買って読んでしまうのだ。
次は「演劇バトル」編、だって。やっぱり買っちゃうな・・・。
武富健治は「ハイナー・ミュラー・ザ・ワールド」でハイナー・ミュラーの『画の描写』上演に関わったりと、演劇とも関係が深いらしいので、楽しみである(やっぱり楽しみなんじゃん!)。
白土三平忍者武芸帳 影丸伝 十、十一』(小学館クリエイティブ、2010年3月)。本当にかっこいい。表紙のインパクトもすごい。「陰の流 四本しめじの術」が好きだなー。
さてと、仕事しなくては。