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古川ロッパ傑作集(CD)

古川ロッパ傑作集

古川ロッパ傑作集

こういうのを見つけて、ついポチッと買ってしまうのがネットの良くないところだ。
武蔵小山駅前で「ライブ・カフェ・アゲイン」という店を開いている石川茂樹という方が、音源を集めて作ったもの、とのこと。ものまねなどはなく、歌の作品集。
ロッパの日記を読むときのBGMにいいかもしれない。僕には聞いてすごくおもしろいというわけではないけれど、ああ、こういう感じの人だったんだな、とか、戦前戦中の雰囲気とはこんなものだったのか、など、少しでも感じがつかめるのがよい。
楽曲も含めて非常に詳しい解説をつけている中野正昭という方は、1971年生まれ。なぜこんなに若い人が? 早稲田大学演劇博物館の客員研究員で、「大正期の浅草オペラや昭和期のミュージカル・レヴューを中心とした大衆文化史、演劇世相史」が専門の研究者、と。いろんな研究をしている人がいるんだな・・・。
 古川ロッパに関してそのプロフィールを知りたければ、色川武大が『なつかしい芸人たち』に書いた一文を読むとよい(「ロッパ、森繁、タモリ」)。新潮文庫に入っているはず。
6ページほどの短い文章だが、ロッパ論が森繁論となり、それをタモリに語らせる、というところに、読んでいておのずとその3人の立ち位置が見えてくる仕掛け。
ちょっと詳しく知りたいのなら、すべからく小林信彦『日本の喜劇人』をあたるべし。小林信彦昭和16年の経験をこう語る。

私は生まれて初めて、舞台の喜劇によって、からだ中を電流が走るような感覚を味わう経験を持った。場所は有楽座。ロッパ一座の公演である。

小林信彦が圧倒的な印象を受けたという「ガラマサどん」を映画化したときの主題歌が、このCDには入っている。

色川/阿佐田、小林信彦を、久しぶりに読みたくなった。