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吉田秋生『海街diary 3 陽のあたる坂道』(小学館、2010年2月)

肩から背中にかけて痛い。まいった。
巨人に肩をわしづかみにされてぎゅうっと締め付けられているような感じ。上を向けないし、右側に傾けることができない。
採点の最後のひとつ、今日終えるはずだったのに、ギブアップだ。シラバスはなんとか書き終えたから、よしとするか。
よたよたと娘を学童に迎えに行く。途中の本屋で、『海街diary 3』を買う。帰ってソファに横になって、さっそく読んだ。

海街diary 3 陽のあたる坂道 (フラワーコミックス)

海街diary 3 陽のあたる坂道 (フラワーコミックス)

人と人が関わり合うこと、それは今まで見えなかったことが他者との関わりによってひとつひとつ見えてくること、気づくことである。気づいて悲しいこともあるし、楽しいこともある。成長もある。そこに焦点を当てることで物語を作っていくのが、吉田秋生のやり方だ。
章ごとに視点人物を交代させ、モノローグを交えることで、それぞれの人物の深い部分に読者を誘い込む。うまい。
鎌倉という場所が、物語をいい具合に枠づけてしている。ほどよい狭さが、登場人物たちの関係を濃厚にしているのだ。
漫画家も、小説家も、長く多く作品をかいていくことで、多様な人生を経験するんだな、きっと。彼らの「人生経験」は、長い物語を語り描くことで深められていくのだろう。
初期の頃からずっとフォローしてきた作家が、いまこれだけ豊かな世界を楽しませてくれる。幸せである。