小田切博『キャラクターとは何か』(ちくま新書、2010年1月)
- 作者: 小田切博
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2010/01
- メディア: 新書
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個人的にもずっと関心のあった問題であるし、最近やっている仕事にちょっと関わってもいて、今月新刊のこの本を早速読んでみた。
第1章 キャラクタービジネスの近代史
第2章 キャラクタービジネスという問題
第3章 キャラクターの起源と構造
第4章 日本型キャラクタービジネス
目次を見ればわかるように、「キャラクター」と「ビジネス」との関わりに、記述の重点が置かれている。
「コンテンツ産業」や「メディア芸術」、国際的な著作権・知的財産ビジネスの動向、などなど、いわゆる「クール・ジャパン」という(ちょっと恥ずかしい)かけ声の背後にあってしかも皆が見逃しがちな、シビアなビジネスの実際を、例を挙げてわかりやすく説明してくれる。
ぼくとして興味があるのは、第3章だった。
1 キャラクター論の混乱
二つのベクトル/専門性の不在/定義することの困難
2 キャラクターの成り立ち
キャラクターの定義と歴史/挿絵とテキスト/大衆小説とキャラクター
3 キャラクターの構造
文学理論と美術史/「キャラ/キャラクター」/キャラクターの三要素/キャラクターの柔軟性
4 キャラクター消費の原点
イエローキッド/キャラクター商品の氾濫/メディアミックス/スーパーマン/戦前日本とキャラクター
ラファーターの観相学、テプフェール、ディケンズとクルックシャンク、E.M.フォースター、「イエロー・キッド」など、このあたりは自分でも調べてみたいところである。観相学は専門のドイツロマン派とも関わるし、『マックスとモーリッツ』のヴィルヘルム・ブッシュとのつながりなども、あるかも。
グルンステン『線が顔になるとき』は、やはり読んでみないと。