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ジブリ来年夏の新作はThe Borrowers!

 昨日かおとといのニュース、スタジオジブリの来年夏公開の新作アニメは、メアリー・ノートン床下の小人たち』が原作、とのこと。ほほう!
 タイトルは『借りぐらしのアリエッティ』。公式ホームページもできていた。
http://www.karigurashi.jp/

 脚本が宮崎駿、そして監督は若手で監督初体験のアニメーター、米林宏昌。舞台は小金井市だそうである。
 ある家の床下で平穏に暮らす小人の家族。生活必需品を上にすむ人間から「ちょっと拝借」して生きている。床の下で外に出られずずっと生きてきた14歳の女の子アリエッティは、父親につれられて初めて体験する外の世界で、やってはいけないことをしてしまい、それがもとで家族の運命が大きく変わっていくことになる…。
 生まれる前から設定されていた世界に閉じ込められていた元気な女の子が、そこから飛び出すことによって世界全体の改変をうながす。これってある意味で、ポニョと同じじゃないだろうか。原作はある種の文明批判ともなっているし、宮崎駿好み、というべきか。
 地球という「床の上」のものを「拝借」しすぎて生存の条件自体を奪われつつあるかもしれない、という感覚。
 でも、結局舞台は「床下」なわけだし、ストーリーもぜんぜん違うものになってしまうような気がするな。
 ノートンの『床下の小人たち』は、1952年の作品。エブリデイ・マジックの物語だ。メアリー・ノートンは、第二次世界大戦後のイギリスにおいて、最初にファンタジーの力を知らしめた作家である。ドイツで言えば、プロイスラーやクリュスと同じ役割、といえるかも。プロイスラーの『小さい水の精』は1956年の作品。
 『床下の小人たち』も『小さい水の精』も、基本的な設定が似ている。我々の世界とは異なる世界の住人がいて、そのこどもが父親につれられて初めて「外の世界」(=人間の世界)へと出て行く。その様子を、異世界の存在の視線から語っていく。『床下の小人たち』のほうが、よりネガティブな世界観を持っているが、プロイスラーも「いま、ここの現実」がけして自明でも安全なものでもない、ということを訴えようとしている点で、ノートンと同じところに立っている。背景にはもちろん、先の戦争があるだろう。
 ジブリアリエッティは、最後に幸せになるのだろうか?