ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

はてなダイアリーから移行。元は読書メモ、今はツイッターのログ置き場。

読みかけ大臣

 さまざまなプレッシャーがかかり、読書のペースがめちゃくちゃになっているのである。逃避行動なので、きちんと読みたい本には手をつけられず、場当たり的な読書かつ読みかけのものばかりがたまっていく。読んでいる途中でいったんやめて仕事などして、さて続きを、と思うとその本が行方不明になっていたりする。ふっと消えていった本たちはいまどこにいるのだろうか。心配しているので、連絡だけでもしてほしい。
 講談社手塚治虫文庫全集、『ジャングル大帝』と『リボンの騎士』を読んだ。登場する魔女はハルツ山地へ行くのだ。ごちゃまぜの、「ヨーロッパ」という世界の話。ブログ書くので確認しようと思ったら2巻が行方不明である。
 坂井克之『脳科学の真実』(河出ブックス、2009年10月)。「ゲーム脳」というもののインチキさはもはや周知のことだと思うが、「脳トレ」とか、「百マス計算」とか、「前頭葉の活動が低下、増加」とか、素人にわかりやすい語り口が「商売」につながっている(ことが多い)ことに気をつけねばならない。「脳科学者」とかいう人々も。
 津田大介Twitter社会論』(洋泉社、新書y、2009年11月)。この夏を過ぎてから、チェックしているブログの書き手で「ツイッター始めました」とか言ってブログのほうをあまり更新しなくなったりしている、というのが目立ってきた。どんなものか簡単には知っていたが、詳しく知りたいと思って読んでみた。140字の「つぶやき」は世界的に大きな情報インフラとなりつつあるらしい。
 いろいろとブログなど読んだり書いたりしているとわかってくるのは、結局、日常生活でコミュニケーション能力の高い人が、ネットの中でも人間関係を広げていくのだ、という、当たり前の事実である。加えて、ITのリテラシーも要求される。パソコン、ネットやケータイに関する知識やリテラシーを早い時期から教育の場で与えていくことが必要かもしれないと思う。
 畝山智香子『ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想』(化学同人、DOJIN選書、2009年11月)。著者は国立医薬品食品衛生研究所主任研究官。食や健康に関する世界の情報を毎日提供しているブログ「食品安全情報blog」で有名な方である。この本はまだ読みかけ。しかし半分ほど読んだだけでも、日本のマスコミが流す食の安全に関する報道がいかにでたらめというか、センセーション主義というか、であることがよくわかる。
 「基準値の○○倍の××が検出された」という報道は、実際のリスクについて正確なことをほとんど伝えていないのだと。「天然成分」だから安全、「化学物質」だから危険、というのはまったくの幻想。健康食品、サプリメント、オーガニック食品のほんとうのところ。
 著者は、食品の安全基準がどのように決められているのかをわかりやすく説明し、それをもとにして、われわれが食の「リスク」というものにどう向き合えばいいのか、示唆を与えてくれる。これは広く読まれていい本だと思うな。
 カビを生やさないための添加物を敵視するということの意味は、十分に余裕を持たせた安全基準をクリアした添加物をさけることで、発がん性の強いカビを生やしやすくし、結果としてより高いリスクにさらされることになるのだ、と。安全性と使用量などが厳密にコントロールされている添加物や農薬は、適切に使えばデータからみて基本的に安全なものである。しかし、ジャガイモは食べて中毒を起こすことがあるのだ。「毒性」は、見方によってはジャガイモのほうがはるかに高い。
 タイトルにもあるように、「ゼロリスク」を求めることはデメリットが大きい、ということのようだ。リスクはなくすことはできない。管理すべきものなのである。