ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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プロップが文庫に

 愛読している月曜社のウラゲツ☆ブログ、近刊チェックのエントリーを見ていたら、来月10日にウラジーミル・プロップ『魔法昔話の研究:口承文芸学とは何か』が講談社学術文庫から出る、と。そういえばアンドレ・ヨレスの『メールヒェンの起源』(『単純形式』)も学術文庫から出ていたな、1999年刊で、いまや品切重版未定だ、プロップのやつも買っとかなきゃ、
 ということを書こうと思っていたら、これも愛読しているヴッパータール人さんのブログ「エルバーフェルト日記」にまさに同じ情報が。
 ヨレスのこの本は、ほんとうに面白い。1930年にドイツ語で(ヨレスはドイツの大学で教えていたが、オランダ人)書かれている。そして、プロップの『昔話の形態学』も、1928年。『単純形式』の「形式」は、つまりは「形態」だ。そしてこのような「形態学」の源流に、ゲーテの形態学がある、というのは田中純の『都市の詩学−場所の記憶と徴候』(東京大学出版会)に教わった。そう、ゲーテ形態学の翻訳も、この3月4月に筑摩書房から木村直司訳で出たばかりだ(『ゲーテ形態学論集・植物編』『動物編』)。
 プロップからレヴィ=ストロースへ、ということで言えば、言語学者でもあったヨレスの分析には、ソシュールの姿が見え隠れしているようにも思える。なんとなくだけど。構造主義への展開を視野に入れつつ、ヨレスとプロップを同じ土俵にのせて論じているような論文はないだろうか。
 ちくまの本も、学術文庫も、すぐに本屋から消えてしまうから、見つけたら買っておかなくちゃいけません。