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林 メーナー エルケ『アルファベットの正しい書き方』(上智大学出版、2008年3月)

 そういえば、ドイツ語のアルファベットの筆記体、きちんと習った記憶がない。ネイティブの先生の板書やドイツ人からもらった手紙などを見て、英語の筆記体とはちょっと違うところがあるなと思い、自己流でマネしていただけだ。
 tやrの書き方はなんとなく知っていたのだけれど、ドイツの大学に通ってひとにノートなど借りると、慣れるまでは読めなくて困った。nとu、mとwはどうみても同じに見える。chのhがへん。sもへん。heuteなんてlのあとにiの点がないやつがずらずら並んでいるだけにしか見えない。
 それで、こんな本を見つけて読んでみた。あやふやだったところが、だいぶクリアになった。著者は日本の大学でドイツ語を教えているが、その経験から集めた、日本人がやってしまいがちの間違いを具体例としながら説明していくスタイルである。このやり方はわかりやすいところとそうでないところがあるが、原則を実践的に理解させるには良い。

アルファベットの正しい書き方 -ドイツ語を例にとって(Alphabet korrekt schreiben)(Writing the alphabet correctly)

アルファベットの正しい書き方 -ドイツ語を例にとって(Alphabet korrekt schreiben)(Writing the alphabet correctly)

 ドイツの学校で教えられている手書き筆記体にには3種類あるようだ。よく見るのはどうやら"Vereinfachte Ausgangsschrift”というやつらしい。大文字がブロック体に近く、小文字の、文字と文字をつなげる線がない。
 英語の場合と大きく異なるのは、大文字のI、小文字のqとfの書き方だ。特にqとfは、英語のように下に突き出た棒の右側にふくらませないで、ほぼ棒だけになるか、むしろ左側にでっぱる。それからTは、大文字でも横棒が後に書かれる。これも英語と違うところ。
 著者は、アルファベット(ローマ字)は「3階建て」なのだ、と言う。ボトムラインを設定した上で、上に伸びる場合と下に伸びる場合をしっかり区別することが大切、と。日本の学生たちは筆記体で書くと文句を言うが、そのことくらいは、4月からの授業で学生に伝えるようにしよう。