ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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バレエまんがふたつ

 3月の終わり、バレエを描くまんがの新刊が2冊、ほぼ同時に本屋に並んだ。ひとつは槇村さとる『Do Da Dancin'! ヴェネチア国際編 5』(創美社発行、集英社発売)、もうひとつは山岸涼子テレプシコーラ 第2部 2』(メディアファクトリー)。

Do Da Dancin'! 5 ヴェネチア国際編 (オフィスユーコミックス)

Do Da Dancin'! 5 ヴェネチア国際編 (オフィスユーコミックス)

 槇村さとる。読み出すとおもしろんだけれど、こういうとあれだが、どの作品でもパターンが同じような気がするんですけど。才能いっぱいだがなんらかの理由でくすぶっている元気な女の子がその分野で世界的に有名な男性に出会って恋愛が絡みつつ世界へと飛び出していく・・・とか。2、30年前の『愛のアランフェス』や『ダンシング・ゼネレーション』、『N★Yバード』から基本はあんまり変わっていないような。『おいしい関係』も同じ。『Real Clothes』は読んでないけど、どうなんだろう。『イマジン』みたいな系列なのかな。しかし今回は、肝心のバレエシーンがいやにあっさりしていた。
 山岸涼子。ある場面において人がどのように感じ考え行動するか、善意や悪意、必然や偶然がどのように絡み合って物事が進んでいくか、そのさまざまなパターンをひとつの物語のなかで見せてくれる、その手際はいつもながらすばらしい。さらに、バレエやダンスがどんな芸術なのか、読むにつれてわかってくる。人間ドラマでもあり、バレエそのものを描いてもいる、そんな作品。
 槇村さとるはまんがという形式やバレエという題材を使って(女の)人生(論)を語っている。山岸涼子は、バレエそのもの、人間そのものの全体像を描き出すことのできるまんがを作りだしている。なんてね。