ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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岩波新書2冊。

今週は期末試験週間であった。ひたすらテストを配り、やってもらい、回収する日々。コマ数をこなすしかない非常勤講師のこの時期は、テストと採点で埋め尽くされる。
試験中は「監督」なので、本がゆっくり読めるわけではない。学生たちに目を配りつつ読めるようなものでないとだめ。
今回読んだのは、岩波新書2冊だ。
・阿岸裕幸『温泉と健康』(2009年1月)。温泉行きたい、の気持ちが高まりつつあったことと、目次を見て、ドイツやチェコの温泉の話が出ているようだったから。ぱらぱらと読む。温泉にはいろいろな種類があって、なにやら効能があるらしい、ということがわかった。
温泉医学の研究はドイツが進んでいるらしい。日本では、「現在では大学レベルで温泉気候医学を専門に研究する施設は、まったくなくなってしまった」のだと。ドイツの温泉地では、バート・ヴィルトバート、バート・クロイツィンゲン、バート・ネンドルフが紹介されている。あと、チェコのマリアンスケ・ラズネも。マリーエンバートですね。
ドイツでは、温泉治療に健康保険がおりる、というのはよく聞くことだけれど、本書によると、ドイツの医療保険も近年は財政難で、「現在では温泉療法に対する健康保険はかなり限られた患者さんに対してのみに適用されている」とのこと。保険を受けると、保養地は自分では選べない。だから、自己負担で希望の保養地に行く人も増えているとか。「最近の滞在時間は10−14日程度」らしい。
・魚住孝至『宮本武蔵 − 「兵法の道」を生きる』(2008年12月)。中学の時に剣道部だったし、吉川英治バガボンドも楽しく読んだ・読んでいるし、ということで読む。
なるほど、武蔵については近年資料批判が進んで、その実像がだいぶ明らかになっているようだ。どこにも完全に帰属することなく、独立独歩で悠々と生き、最終的には普遍的な理論・思想にまで至った人物として、この本ではその姿が描かれている。
兵法のみならず、能でも茶の湯でも、「道」というものの成立に「禅」が深く関わっていること。戦国時代から江戸初期にかけてというのは、とてもおもしろい時代なのだ。