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Kinder- und Jugendliteraturforschung 2007/2008 (Peter Lang, 2009)

Institut für Jugendbuchforschung der Johann Wolfgang Goethe-UniversitätとStaatsbibliothek Preußischer Kulturbesitz(Berlin), Kinder- und Jugendbuchabteilungの編集になる年鑑の最新刊が、Peter Langから届いた。編集責任者として、Bernd Dolle-Weinkauff, Hans-Heino Ewers, Carola Pohlmannの名が挙げられている。
表紙は『マックスとモーリッツ』だ。
「報告」に、Malte Dahrendorf マルテ・ダーレンドルフの追悼文が出ている。昨年の5月13日に、80才で亡くなった、と。ここに書かれているように、Klaus Doderer クラウス・ドーデラーとAlfred Clemens Baumgärtner アルフレート・クレメンス・バウムゲルトナー、Theodor Brüggemann テオドール・ブリュッゲマン、そしてダーレンドルフが、ドイツの児童文学研究の基盤を築いた人々である。
ダーレンドルフは「読者中心の(leserorientiert)立場、かつ左派の立場を代表する」研究者である。「少女小説の社会的機能」「トリヴィアルな文学の教授法」「児童文学における国民社会主義というテーマ」などが、彼の研究としてよく言及される、と。
寄稿論文は4本。Hans Riesによる「ヴィルヘルム・ブッシュの絵物語における絵と言葉の関係」は、テーマとしておもしろそうだが、果たしてどうか。Jean-Marie Bouissouの「日本の青年向けマンガにおける90年代のグローバル化、新たなエリート、そして価値のディスクール」。もとはフランス語のようだ。扱われているのは、藤沢とおるの『GTO』と、神尾葉子の『花より男子』。通称Hanadan、として論文中ではhanadanで通している。『GTO』はドイツ語版が2002年から25巻出ている(Egmont)が、『花より男子』は英語版しかないようだ。英語のタイトルは、Boys over flowers
あと小論("Kaiser-Struwwelpeter")とか書評などにもおもしろそうなのがあるけれど、果たしてこの本を読む余裕がいつできるだろうか。
2007年に発表された児童文学関係の書誌つき。