ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

はてなダイアリーから移行。元は読書メモ、今はツイッターのログ置き場。

マンガを読む日々

・月曜日
今年最後の授業を終えて、娘を学童保育に迎えに行き、夕飯にはまん丸のハンバーグを作ってふたりで食べる。夜、業田良家『新・自虐の詩 ロボット小雪』(竹書房、2008年8月)を読む。
初めは4コマ漫画の形式で、次第に(1ページ8コマを基本的に守りつつ)その縛りが解けていき、ストーリーマンガへと移行していく。
男も女も恋人ロボットや愛人ロボットを所有する、つまり「愛情」を家族から「外注」に出している、未来社会の話である。
これは『自虐の詩』と同じように、家族とか男女関係とか人が生まれ生きていくこととかに関する物語なのか、と思いつつ読んでいくと、おお、格差社会の話であった。川向こうに、ゴミ埋め立て地でゴミをあさり、血や腎臓を売り、死ねば「燃料」となる人々の住む地域がある、そんな世界。ロボットの純粋さが、人間の姿を逆照射する。

・火曜日
女性陣は掃除と年賀状作成。ぼくは仕事など。買い物に行くと、スーパーはひどく混み合っている。年末を実感する。おやじもくっついて出てきてるから、人数がいつもの倍なんだよ。
夜、石川雅之もやしもん 7』(講談社、2008年12月)と荒川弘鋼の錬金術師 21』(スクウェア・エニックス、2009年1月)を読む。

もやしもん(7) (イブニングKC)

もやしもん(7) (イブニングKC)

鋼の錬金術師 21 (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師 21 (ガンガンコミックス)

最近建てられている大学の建物は妙にすっきりしたものばかりだが、本当は「見通しのきかなさ」とでもいうべきものが必要なんじゃないか、と思う。建物も、カリキュラムも、教員も。隠されているが、未知のものがそこにある、という感覚。手探りで歩いていくと、中から「おいでおいで」と呼ぶ声がする、と。学問ってそういうものじゃないだろうか。『もやしもん』には、それがちゃんと描かれている。
ハガレン』は、さまざまな方向に広がったストーリーや人物たちが、いよいよ結末へむけて一点へと収束しはじめた。エドの顔が着実にたくましくなってきているし、ウィンリィちゃんも大人っぽくなっている。微妙に、しかし確実に。作者はかなり緻密な計算のもとに描いているという印象だ。

・水曜日(今日)
午前中仕事をして、午後、神保町へ必要になった本を買いに行く。東京堂の「お買い得本」コーナーで、沖積社の『クライスト全集 第2巻』を見つける。8000円が2500円。なぜ? 購入。妻が、『大奥』今日発売だから買ってきて、というので、三省堂で買って帰る。そして先に読む。よしながふみ『大奥 第四巻』(白泉社、2008年12月)。
おもしろい。性別と規範、社会的役割、行動様式などを、ちょっとずらしたり取り替えたりすることで、われわれが何気なく行っていることの意味が少し見えてくる。という説明だけだとこぼれ落ちてしまうはずのおもしろさも、確実にある。
よしながふみは、たとえば人物の真横からの顔の、唇とあごの角度とか、男の手の描き方などに特徴がある。カクカクで尖ったりしているんだけど、妙に色気があるのだ。11月に出た『きのう何食べた? 2』(講談社)では料理の場面がたくさんあるので、手のアップが頻出する。あと、「しあわせそうな顔」も好きである。表紙の、カレー食べてる顔とかね。