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町山智浩『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』(文藝春秋、2008年10月)

アメリカに住みながら映画評論、アメリカに関する時事的コラムを執筆している町山智浩の、最新コラム集。

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

ブッシュ時代のアメリカの、一般的なニュースを見たり読んだりしているだけでは伝わってこない実像。それをこんなにおもしろく報告してくれる本って、なかなかない。
もちろん町山のコラムニストとしての力がすごいのだけど、なにしろアメリカ合衆国それ自体が変すぎる! 著者は今回は、主にテレビや映画をソースとして、取捨選択して淡々と「報告」しているだけなのに。
ブッシュのダメダメさとブッシュの戦争の背景、福音派キリスト教の社会的影響力、右翼的マスコミの度を超えたとしか思えないすごさ、政治家たちの右往左往・・・。個々のエピソードの紹介はしません。読んでみてください。
でも一方で、自分のテレビ局の批判を堂々とやってしまうアニメのシンプソンズ、さまざまな圧力にめげずに戦争反対を貫くディキシー・チックスがいる、というところもアメリカの底力なのだろう。
飼い犬の話のなかでさらりと自分を「雑種」だというオバマ、あからさまな女性差別的圧力・攻撃の中で闘うヒラリー・クリントン共和党の中でブッシュ的なものに反旗を翻し続けたマケイン。危機的状況にこれだけタレントがそろって出てくるのが、やっぱりすごい。
翻ってわが国だが、「日本は単一民族」とか「日本をいい国だと行って何が悪い!」とか、マンガばかり読んでて漢字が読めなくなっちゃったとか、幼稚さのレベルが低すぎるよ!