ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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大野晋が亡くなった

14日、午前4時、大野晋が亡くなった。88歳。
高校生だったころの正月に、自宅でとった写真がある。こたつに入ったぼくが、猫を抱いて写っている。こたつの上には、中央公論の『日本語の世界』シリーズの第1巻、大野晋による「日本語の成立」が伏せてある。
言語学の本、日本語研究の本を読みあさっていた高校時代、大野晋はなかでも愛読していた。起源論には当時からちょっと距離を置いていたが(起源論っていうのは…いや、これはまた別のところで)、言葉というものの「しくみ」の奥深さを、あざやかに示してくれる手際に、どきどきした。特に、「係り結び」。言葉ってふしぎ!
学会というのはポピュラリティと評価が反比例するところだ(った)から、国語学者集団の中での大野晋の評価は高くないというか、主流から外れたところにいたと思うが、しかし日本語を使って仕事をする人々は、さまざまな形で大野の「はげまし」を受けていた、刺激を与えられていたはずだ。
その意味で、おそらく、中学や高校時代に影響を受けたという人が、けっこう多いのではないか。タミル語起源説も含めて、「学問」というもののおもしろさ、わくわく感を、若い人に与えてくれる貴重な学者だったと思う。