ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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森美術館「アートは心のためにある」展

 日比谷線六本木駅でおりて例の長いエスカレータのふもとにあるスタバでちょっと一休みしてから(おやショップ&レストランの案内板の半分くらいが紙貼ってある、明日ニューオープンの店がたくさん、5周年だとか、なんだか店総取っ替えだなあ)、

エスカレータをのぼってチケットを買ってエレベータで53階の森美術館へ行く。パリのルーブルでは客はいったんガラスのピラミッドの下に降りていってから各翼へ導かれるわけでそれが特別な空間へいらっしゃいという環境世界変換装置となっているが、森美術館も薄暗い通路の奥にあるエレベータの長くて速い移動のあと目の前にぽっと開けた空間の視線の先を上昇するエスカレータが特別な空間へとわれわれを誘っている。六本木の異世界はひたすらの上昇の果てに浮かんでいるのだ。
 展覧会は、UBS(スイスの金融グループ)が蒐集したアートコレクションからセレクトしたもの。写真が多い。ウォーホルとかリキテンスタインとかバスキアとかあったが、こちらとしては今回は写真に焦点を定めて見ていくことにした。トーマス・ルフのどでかい証明写真みたいなポートレート。産毛までクリアに写っている巨大な顔は、そばによると単純に不気味。でかいの好きだなドイツ人は。崇高? それから、アンドレアス・グルスキーサッカー場のやつとか、百円ショップのやつとか、混沌のなかの秩序みたいなのを計算し尽くして画面に貼り付ける。これも妙に見る快感を与えてくれる。トーマス・シュトゥルートもあった。良い。トーマス・フレヒトナー(なんでトーマスばっかり?)は、けっこう好き。今回あった雪のやつも好き。フレヒトナーの写真は、買って自分の家にかざりたいといつも思う。ルフのはちょっと遠慮したい。アラーキーの「さっちん」があった。みんな言ってることだと思うけど、やっぱり梅佳代「男子」はさっちんだよなあ。シンディ・シャーマン森村泰昌を並べて展示してある。そのほかにも、類似性をもとに違う作家を並べる展示をさりげなく紛れ込ませているのがあって、工夫だ。森村は妙にハンサムなのがちょっと笑える。あとなにがあったか。カンディダ・ヘーファー。恐るべしベッヒャー・シューレ。グルスキーともシュトゥルートとも似ているようでまったく異なる印象を残す。三人のなかではいちばん地味だけど、いちばん好みかな。
 見終わって、東京シティビューという名の展望台へ。東京タワーやお台場、渋谷、新宿御苑などを一望する。軍用ヘリコプターがすぐ目の前を横切る。今日の連れはS君、男ふたりで喫茶コーナーで彼はコーヒーぼくはスムージーを飲みながらしみじみと語り合った。