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『タニアのドイツ式部屋づくり』を読んだ

 NHKテレビの「ドイツ語会話」で料理のコーナーを担当されていた、門倉多仁亜さんの本。

タニアのドイツ式部屋づくり―小さな空間ですっきり暮らす整理・収納のコツ

タニアのドイツ式部屋づくり―小さな空間ですっきり暮らす整理・収納のコツ

 他の国のことはよく知らないが、ドイツで家におじゃますると、すごく居心地の良い空間がしつらえられていることに驚く。ドイツでは、家の中でリラックスして過ごすこと、そこに生活の大きな重点を置いている人が多い(庶民的な人は質素に、社会的地位の高い人は、ちょっとスノッブにも感じられる家具調度類で・・・)。日本人の父とドイツ人の母との間に生まれたタニアさんのこの本にも、そんなドイツ人的暮らし方のあらましが紹介されている。居心地の良いこと、安らぎを感じること、をドイツ語ではGemütlichkeit(ゲミュートリヒカイト)というが、ドイツ人にとってのその言葉の「実感」がどのようなものなのか、その一端を知ることができる。
 特に、タニアさんのお母様の家はすごい。自分を囲む空間に愛情を注ぎ、その結果、その空間から安らぎを受け取る。周囲の環境へのアクティブな働きかけこそ、「ドイツ的」なるものの大きな一部なのではないか。
 ドイツにおける「暮らし」、「家」のしつらえについてもう少し詳しく書かれたものとしては、グレーフェ紣子『ドイツ快適住宅物語』(中公文庫)がおすすめ。著者は1960年代の終わり頃にドイツの男性と結婚し、以来ドイツで暮らしている方。明晰な文章が印象的。