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「モダン・アート,アメリカン」展に行った

国立新美術館で12月12日まで開催されている、「モダン・アート,アメリカン 珠玉のフィリップス・コレクション」展。授業が大学祭でお休みなので、ふらっと出かけてみたのだ。
アメリカの現代美術に関しては、いくばくかの知識はあるけれど、20世紀半ばの抽象表現主義以前の、昔のアメリカ美術はほとんど知らない。はじめて見る名前、初めての絵ばかりで新鮮、期待よりずっとおもしろかった。昔、といっても、19世紀半ばから始まるのだが。
ロマン主義とリアリズム」から始まり、「印象派」ときて、3番目のセクション「自然の力」、時代としては20世紀に入るころ、から、がぜん興味深くなる。アメリカは、やはりなによりもまず、圧倒的な自然なのだ。荒野に道を作る巨大なローラーを描いたロックウェル・ケント「ロード・ローラー」の荒々しい雄大さに、思わず見入る。
暴力的なまでの自然の大きさは、神秘主義と結びつくだろう。4章の「自然と抽象」、ジョージア・オキーフのスケールの大きさとシンプルかつ静謐な画面が登場する理由が、ここまで見てくると、よくわかる。それを都市に移せば、エドワード・ホッパーになる、と、そんなに単純なものでもないだろうけど。

この絵がある6章「都市」と、続く7章「記憶とアイデンティティ」あたりがおもしろかった。国吉康雄アンドレ・ルエラン、ジェイコブ・ローレンスなど。ぼくらのイメージにある、あのアメリカだ。
最後の抽象表現主義のところは、大画面の作品はほとんどなく、その意味では物足りないが、お勉強にはなる。
見終わって地下のカフェに行くと、アメリカにちなんだメニューとしてポークビーンズがあったので食べる。まわりの席にはいつになく年配の方々が。日展も開催されていたのだった。みな溌剌と、楽しそうにおしゃべりしていて、ひとりぽつんと食事しているのが寂しくなった。