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「森と芸術」展に行った

東京都庭園美術館で開かれている「森と芸術」展へ、家族で出かけた。
あまり知られていないのではないかと思うが、「きのこ」をモチーフにした服装やアクセサリーを身につけていくと、入場料が100円引きになるのだった。
娘に前夜にビーズできのこのブローチを作ってもらい、3人でつけていったよ。
とても良い展覧会だった。監修は巖谷國士。以下、備忘としてのメモ。
第1章 楽園としての森:デューラー「アダムとエヴァ」やドレの『失楽園』挿絵もいいけれど、同じ『失楽園』を描いたジョン・マーティンの版画が妖しげで良い。もちろんアンリ・ルソーの「エデンの園エヴァ」も良し。
第2章 神話と伝説の森:ここはフューズリ「真夏の夜の夢」。
第3章 風景画のなかの森:クロード・ロランもあったが、カミーユ・コローがね・・・こういうちょっとセンチメンタルなものに惹かれた自分に、驚きを感じた。
第4章 アール・ヌーヴォーと象徴の森:バーン-ジョーンズの「フラワーブック」、ガレのガラス。
第5章 庭園と「聖なる森」:やはりピラネージ。「ティボリの滝」。そして川田喜久治の写真、ボマルツォ「怪物公園」連作に見入る。
第6章 メルヘンと絵本の森:ドレの「赤ずきん」、ラッカム、デュラック。カイ・ニールセン「ヘンゼルとグレーテル」。グランヴィルからクレイン、そしてクライドルフと続く擬人化された花々。エルサ・ベスコフもオルファースも。明治大学には「絵本とメルヘン・コレクション」があり、青山学院女子短期大学には「オーク・コレクション」あり。エルツ製のクリスマスピラミッドがあった。
第7章 シュルレアリスムの森:マックス・エルンストをみるといつもどきどきする。デルヴォーはまた違った形でどきどきする。瀧口修造ブルトンが並んでいる写真が興味深い。
第8章 日本列島の森:岡本太郎。「森の家族」はいいと思うんだ。写真は、うまいが、どうということもない。

図録は一般の書店でも売られる書籍の形でまとめられている。平凡社刊。たとえば中高生などが、一度展覧会を見て、この本を読んで、そしてもう一度美術館を訪れる、なんてするといいのではないか。楽しめるはず。
その図録の表紙にもなっている、ポール・セリュジエ「ブルターニュのアンヌ女公への礼讃」はなるほど印象深い絵だった。これがあって展覧会の最後のピースが埋められた、という感じ。美術館の存在自体と内容があいまって、気持ちの良い展覧会でした。