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「誇り高きデザイン 鍋島」展

鍋島の展覧会を観るのは2回目だ。かつて観たのは19881998年、日本橋三越での「色鍋島展」。今回は東京ミッドタウンにあるサントリー美術館にて。
鍋島はひたすら皿である。実用としての食器、しかしその図案は「デザイン」として極度の洗練を見せる。茶道具のように個人の権力欲がまとわりついていないのが、いっそ潔い。
明確にコンセプトを設定し、ターゲットを絞り、集中的に投資をして高品質のものを作る。そのために技術開発をする。そうして生み出された製品だからこそ、現代にも馴染むのだろう。
骨董とは縁遠い人間にとって、銘の入った茶碗はガラスの中に鎮座するのを眺めるだけ。でも鍋島だとイメージの手がガラスをするりと抜けて皿を両側から持ち、ひっくり返し、料理をどこに盛るかと考える。精緻に繰り返されるパターンを、波打つ曲線を、涼やかな白抜きを、指でたどる。
楽しい。
唐草唐花文、更紗文。生気を残しつつぎりぎりまで抽象化された植物。皿に壺を描くというアクロバティクス。
有田・伊万里には一度行ったことがある。またぜひ行きたいところのひとつ。
(追記:色鍋島展の年号訂正。)