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下田淳『ドイツの民衆文化 祭り・巡礼・居酒屋』(昭和堂、2009年11月)

ドイツの民衆文化―祭り・巡礼・居酒屋

ドイツの民衆文化―祭り・巡礼・居酒屋

ドイツの民衆史、民俗史に関する著作はいろいろとあるのだろうけれど、これは教科書として(内容も、文体も)使える読み物だと思う。

第一章 ドイツ史のなかの祭り
 第一節 暦と祭り/第二節 ドイツの教会歴と祭り/第三節 世俗の祭り/第四節 カーニヴァル考/第五節 祭りと権力
第二章 ドイツ人の生と死
 第一節 出生と洗礼/第二節 結婚/第三節 死
第三章 ドイツ人の信仰
 第一節 信仰を司る人びと/第二節 瀆神/第三節 奇跡/第四節 現代ドイツ人の信仰
第四章 ドイツの巡礼
 第一節 巡礼とは何か/第二節 宗教改革と巡礼/第三節 行列/第四節 巡礼の規制/第五節 巡礼の再生/巡礼物語1 トリーア聖衣巡礼/巡礼物語2 聖体祭行列とアルトエッティング巡礼記
第五章 ドイツの居酒屋文化
 第一節 居酒屋の成立/第二節 中近世の居酒屋/第三節 居酒屋の規制/第四節 芸人たち

著者は宗教史が専門のようで、ドイツ人の「世俗」と「信仰」というふたつの生活の関わりを、とてもわかりやすく説明している。
近代になるまで、そのふたつは混じり合っていた。教会の行事と、飲む打つ買うの世俗的楽しみは不可分に結びついていたらしい。
それが分離するのが、啓蒙主義のあと、さらにフランス革命のあと、だと。
聖地巡礼・行列の話が興味深かった。「留」についてなど。
ドイツの年中行事の背景を知るために、とても役に立ちそう。