ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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今日の日記

10時半より大学でドイツ語初級の授業。
今日は11月9日である。ので、もちろんドイツにおける「11月9日」について話をする。
1918年11月9日、いわゆる「ドイツ11月革命」。1871年ドイツ帝国成立(明治4年だ)、そのドイツ帝国がおこした第1次世界大戦、その戦況は悪化し敗色濃厚になり、かつロシアにおける革命の余波がドイツにも及んでくる。キールの軍港での兵士や労働者の反乱が起こり、社会民主党エーベルトが11月9日に首相に任命され、共和国が誕生する。一方でマルクス主義的な社会主義国家建設をめざしたスパルタクス団が「ドイツ共産党」となるが、その中心たるカール・リープクネヒトやローザ・ルクセンブルクは翌年に殺害され、共産主義革命は頓挫する。1919年2月、ワイマール共和国成立。
1923年11月9日、「ミュンヘン一揆」。ワイマール共和国の打倒をめざしてアドルフ・ヒトラーミュンヘンでクーデターを画策する。その企ては頓挫し、ヒトラーは逮捕。この経験から、ヒトラーは選挙による、法に則った政権獲得へと目標を転換することになる。
1938年11月9日、「水晶の夜」。11月7日、パリのドイツ大使館員がユダヤ人によって射殺されるという事件が起こる。11月8日、ヒトラーミュンヘンミュンヘン一揆を記念する演説を行い、翌9日にはゲッベルスが反ユダヤの演説。そのゲッベルスの指揮の下、ドイツ全土でユダヤ人に対するポグロムが起こる。ユダヤ人の経営する商店などが破壊され、シナゴーグが襲われた。警察は見て見ぬふり。100人ほどのユダヤ人が虐殺され、数万人が逮捕される。街には割られたガラスが散乱し、ゆえに「水晶の夜」と呼ばれることになった。当局のコントロールがきかない場面もあり、こののちはユダヤ人に対する政策がドイツ国外への追放、あるいは施設への収容へと変わっていく。
そして1989年11月9日、ベルリンの壁の崩壊。その年の2月に、壁を越えようとして殺された最後の犠牲者がいた。変化がいかに急激であったか。しかし実はその数年前から、実質的に壁は崩れる兆しを見せていた。8月頃には、西側世界と東側との境界が崩れる動きがあった。1985年のゴルバチョフ書記長の登場、さらにポーランドハンガリーにおいては民主化・自由化がある程度進んでいたことを背景に、たとえば「ヨーロッパ・ピクニック計画」として東ドイツからハンガリーを経由してオーストリアへ抜けるというルートが生まれる。ハンガリーの首相ネーメトは、ゴルバチョフとコンタクトをとって軍事介入がないことを確認し、西ドイツのコール首相と密かに会ってオーストリアへのルートを解放する旨を伝える。9月にはそれが実現することになる。このルートで数十万人の東ドイツ国民が西側に出た。
ホーネッカーはすでに失脚、あとを継いだクレンツは、禁止されていた外国への一般国民の旅行をビザの発行を条件として認める(ただしベルリンの壁からだめ)という旅行法の改正を11月9日に行う。しかし当日にその発表を行った広報担当の政治局員は、すべての国民は今から自由にどこからでも出国できると言ってしまった。この大きな勘違いによって、発表をきいた人びとが壁に殺到し、その勢いはとめられず、ついにその日のうちに通行が許可されることとなったのだった。
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授業が終わって、5時に帰宅。娘を迎えに学童へ。楽しく話をしながら家に戻る。ポケモンの絵を描いている娘を見ながら、そしてベルリンの壁崩壊20周年を特集するテレビ番組を見ながら、夕飯を作る。今日は鮭の西京漬け、ほうれん草の胡麻和え、蕪のおみおつけ、それと昨日の残り物いくつか。時間がないので作る手間のかからない献立だ。西京漬けはグリルで焼くと焦げたりしてうまく焼けないので、今日はトースターで焼いてみた。キッチンペーパーで味噌をかるーく拭き取り、アルミホイルの上に置いてトースター1200ワットで8分ほど。ふっくらとうまく焼けたのだった。娘は西京漬けも新米もふっくらでうまい、とたくさん食べた。妻は残業で9時頃帰宅。
さて、10時過ぎから自分の時間。明日の授業の準備をする。
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ネットの古書店に注文していた古本が今日届いていたので、開けてみる。
グリム童話研究』(日本児童文学学会編、大日本図書、1989年10月)。おお、壁が開くころにでた本だ。グリム生誕二百年記念として。
ジャック・ザイプス『赤ずきんちゃんは森を抜けて 社会文化学からみた再話の変遷』(阿吽社、1990年6月)。
クリスティーネ・ネストリンガー『かべにプリンをうちつけろ』(平野卿子訳、ほるぷ出版、1992年1月)。「壁と卵」ではない。原題は"Nagle einen Pudding an die Wand!"。
イリーナ・コルシュノフ作、ラインハルト・ミヒル絵『みなしごギツネ』(遠山明子訳、福武書店、1988年5月)。原題は"Der Findefuchs"。
ウルズラ=ウェルフェル『いたずらっ子といたずらヤギ』(関楠生訳、学研、1978年3月)。原題は"Julius"。
ヘルメ・ハイネ『くまはおうじさま』(大島かおり訳、佑学社、1988年3月)。原題は"Prinz Baer"。やっぱりすてきな絵だ。
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さて、まだやることがある、が、このところ続いている胃痛、むかつきが顔を出す。今日はもう終わりにしよう・・・。