ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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「THE ハプスブルク」展を観に国立新美術館へ行った

 良い天気だったので午後から国立新美術館へ。いまさらながら、国立新美術館というのはおかしな名前だなあと。英語名はThe National Art Center,Tokyoである。「THE ハプスブルク」というのもすごい。こういう田舎くさいタイトルはやめて欲しいがどうでもいいといえばどうでもいい、か。英語タイトルは"Tresures of the Habsburg Monarchy 140th Jubilee of the Friendship Treaty between Austria-Hungary and Japan"だ。
 なかなかの混みようである。いきなりルドルフ2世のなすび顔が現れて驚く。有名なヴィンターハルターのエリーザベトの肖像は、きれいだが絵としてはなんてことなし。
 見て良かったもの。ティントレット。「オンファレの寝台からファウヌスを追い出すヘラクレス」も「キリストの笞打ち」も良い。デューラー「若いヴェネツィア女性の肖像」。クラナッハ父。「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」には釘付けになる。レンブラント、息子の肖像画(「読書する画家の息子ティトゥス・ファン・レイン」)。エル・グレコ「受胎告知」。光が物質化して流れ、画面を幻想化する。ベラスケス。マルガリータもフェリペもかわいい。フェリペ、赤いスカートに白いエプロンだ。
 「クンストカンマー」の工芸品はパス。明治天皇フランツ・ヨーゼフ1世への贈り物も、ひどく混み合っていたのでパス。
 見終わると、土産物屋の部屋を通らねば外に出られない仕組みなのだった。これも田舎の観光地並みである。といいつつ、デメルの猫の舌チョコを買ってしまう。
 ついでに東京ミッドタウンをちょっとだけ見学。やはりこういうのは箱庭遊びというか、刹那の幻のようなものである。その地に過去の歴史なく、未来へ向かっても歴史は形成されぬであろう。隣接の公園の遊具まで、どこにも属さず浮遊する形をしている。いっそノスタルジックなわびしい滑り台とブランコであったほうがその無常を正確に反復していたはずだ。
 夕日でシルエット化した風景を眺めつつ、廃墟を幻視する。