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佐々木敦『ニッポンの思想』(講談社現代新書、2009年7月)

ニッポンの思想 (講談社現代新書)

ニッポンの思想 (講談社現代新書)

 著者の佐々木敦はぼくと同年代なのだ。肩書きは批評家、だろうか。80年代のいわゆる「ニューアカ」からゼロ年代の「ゼロアカ」まで、30年をひとまとまりとして、あるひとつの流れが始まり、終わる風景をスケッチした本。
 ぼく自身もこの流れを同じように「ウォッチャー」として体験してきている、ので、読んでいてもうよくわかるったらないのである。高校のときに山口昌男とかレヴィ=ストロースとか読みかじり、大学に入ってすぐに『構造と力』と『チベットモーツァルト』が出て、その頃うちの大学にいた山口昌男中沢新一がコンビでやった講演会をのぞいたり(山口昌男山岸涼子の『日出処の天子』を語り、黒板に厩戸皇子を描いていた)・・・。良くも悪くも、「ニューアカ」を出発点としてしまった世代なのだ。
 本書の記述が非常にクリアなのは、この「30年」をひとつのまとまりとして捉えたこと、そして「プレイヤー」を著者なりの視点で厳選したことによるだろう。「ニューアカ・カルテット」たる浅田、中沢、蓮實、柄谷。「90年代」の福田和也大塚英志宮台真司。そして、「ゼロ年代」の東浩紀
 このうちで福田和也についてはあまりフォローしていなかったので、勉強になった。それと、大塚英志が入っていることで状況とそれぞれの立場が明確になり、また東浩紀のあり方も語りやすくなる。なるほど、と思う。
 大塚英志の新しい新書を読んだが・・・これはまたあとでメモしよう。『1Q84』のあとにでも。