ディランの新作に泣く

　中学の時に聞いた『欲望』に惹きつけられてから、ぼくはボブ・ディランのアルバムを少しずつさかのぼって聞いていった。『血の轍』、『プラネット・ウェイブズ』、『新しい夜明け』、『ナッシュビル・スカイライン』、『ブロンド・オン・ブロンド』･･･。
　新しく出されるアルバムはちょうど宗教の時代に入ってしまって聞いてもなんだかよくわからず、もっぱら昔のものを聞いていたのだった。あらためて新作にわくわくしはじめたのは、『オー・マーシー』あたりからだ。
　先日発売になった、『トゥゲザー・スルー・ライフ』。評判にたがわず、聞いて幸せになる。

トゥゲザー・スルー・ライフ(初回生産限定盤)(DVD付)

　2曲目の Life Is Hard。最初の入りのところの、ディランの声がなんともよい。きみがそばにいないとさ、人生ってハードだよ、ほんとそう思うよ、と歌うディランに、しみじみと聞き入る。This Dream Of Youは、ライナー・ノーツにもあるように『欲望』の「ドゥランゴのロマンス」を思わせる。『欲望』からはいった者としてはうれしく楽しい。
　そして最後の2曲、I Feel A Change Comin' On と It's All Good は、ああディランだ、と。心の欲する所に従えども矩をこえず、という境地に至ってしまったのだな、ディランは。
　しかし、ちょっと買うのを早まったかも。みうらじゅんの映画とか入ってるへんなＤＶＤ付きのやつだったよ。ディランがやってるラジオ番組のＣＤがついてるやつは6月10日発売だってあとから知った。それも買ってしまうかもしれない。