ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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まわりをまわる(だけ)の読書が好きということ

 昔からそうだ。
 小学生の時のスーパーカーブーム、もちろん本物に乗ることなどできないから(そして今もできない)、「スーパーカー」の本や雑誌を読むのが楽しかったんだ。
 そこから自動車のレースに興味が移って、中学・高校の時は雑誌を毎月買って読んだり、本を読んだりしていた。でも、レース場に足を運んで実際に体験したり、免許を取ってから、自分でレースを始めたり、なんてことはしないのだ。
 オーディオでも車でも自転車でもカメラでもパソコンでも、買う前に長いこと関連する本や雑誌を読み眺めるのが、無性に楽しい。
 さて問題は、一応専門であるところのドイツ語でも、そういう傾向がある、ということなのである。ドイツ語そのものを勉強したり、積極的に会話したり、ということよりも、ドイツ語に関する書物などを読むのがすき・・・。困りますね。アームチェア・ディテクティブ、安楽椅子探偵という推理小説のジャンルがあるけれど、その伝でいけば、アームチェア・ゲルマニストとでもいうべきか。
 昨日読み終えたのは、
根本道也『ドイツの標準語 その生い立ちと辞典の個性』(同学社、2008年4月)。
 著者前書きから引用すると、

・・・一つ目が「ドイツ語の標準語はどのようにしてできたのだろうか?」、二つ目が「(その標準ドイツ語を解説する)現代のドイツ語辞典はそれぞれどんな個性を備えているのだろうか?」です。前者を第1部とし、後者を第2部としました。

 「現代のドイツ語辞典」というのはドイツで出版された(ている)独独辞典のことであり、具体的には18世紀のアーデルング、カンペのドイツ語辞典から、グリムの辞典、20世紀初頭のザンダース、ヴァイガントとハイネ、コンラート・ドゥーデン、そして第2次大戦後のクラッペンバッハ、ドゥーデン(6巻、8巻、10巻、普遍辞典)、ヴァーリヒ、が取り上げられ、その特徴が解説されている。
 第1部の、標準語が生まれるまでの歴史を説明する部分も同じだが、常にドイツ語圏の歴史全体を語りつつ、その中に各項目を位置づけていくスタイルで、平易ながら詳細、一読して流れを捉えることができる。
 そもそも標準ドイツ語をHochdeutschという、ということからして、ややこしいのだ。しかも「標準発音」となると、これはhochでない地方、北ドイツのドイツ語が基準だ、などとポンと言われても、ピンとこない。そのあたりをクリアに説明してくれる。ドイツ語学習者の参考書として、おすすめである。