三瀬夏之介の展覧会を観てきた
千駄ヶ谷と信濃町の間、四谷第六小学校の向かい側にある佐藤美術館に行って、三瀬夏之介の展覧会を観た。22日まで。
三瀬夏之介は、1973年生まれ、ジャンルとしては日本画の作家である。しかし、その作品はいわゆる日本画の領域を盛大にはみ出しているように見える。これがまた、かなりおもしろいのだ。
建物の三階と四階が会場だが、まず三階の部屋に入ると、目の前に、三十四曲一隻(1枚が154×91.5㎝)というとてつもない作品が広がる。「奇景」というタイトルのその作品は、膨大な、さまざまなイメージの集積体であり、画面は混沌が支配している。しかしその混沌の中にあるかすかな秩序が、横にひたすら長いこの作品全体にリズムを与えている。記憶、想像力、そして知性の力。破壊が描かれ、静寂があり、再生がある。全体として、暗いイメージではない。むしろ、なにがしかの希望がそこここに覗いている。
チラシやパンフの写真では、ほとんど何も伝わらないタイプの作家だ。近づいて見たときと遠くから眺めたときの印象が大きく変わる。素材や技法、細かい断片をつなぎ合わせるという手法、コラージュ、多様なイメージがゆるやかにつなぎ合わされ、変化していくこと。「体験」を要求する作品、とでも言うべきか。
最近登場しはじめた、日本画の手法で現代美術を作る作家たちのひとりとして、名前は聞いていたし、最近読んだ次の本でも取り上げられていた。
高階秀爾『日本の現代アートをみる』(講談社、2008年11月)
- 作者: 高階秀爾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/11/28
- メディア: 単行本
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http://www.ueno-mori.org/tenji/voca/2009/index.html
VOCA展は3月15日から3月いっぱい、上野の森美術館で。それから、5月の終わりから6月はじめにかけて、新宿高島屋で個展をやる、と。
ショップで小作品が販売されていたけれど、小さなもので10万円ほど。欲しいんだけど・・・。