ホンダヨンダメモ(はてなダイアリー版)

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「月刊 MOE」2009年3月号(白泉社)

 前回の最後で「次回はドイツのマンガ・・・」と書いたが、なかなかまとまらないのでちょっと保留します。
 「月刊MOE」をたまに買うようになってしまった。おじさんが手に取るのを微妙に拒否する装幀なのだが。
 1980年代は偕成社から出ていた。当時、永田萌の名前から誌名をとったのかと思っていたが、どうなのだろう。一時は偕成社の系列会社としてMOE出版というのが作られてそこから刊行されていたが、1992年4月より白泉社に移り、現在に至る。昔の、たとえばグリム童話のイラスト特集号とか、見てみたい号がいくつかあるのだけど、古本でもなかなか見ない。
 3月号は、巻頭大特集として「親しかった中川季枝子・松岡享子さんが語る 石井桃子 子どもの本へのかぎりない愛」。表紙はうさこちゃんだ。

MOE (モエ) 2009年 03月号 [雑誌]

MOE (モエ) 2009年 03月号 [雑誌]

 翻訳や創作の様子について、中川李枝子さんが語り、文庫活動について松岡享子さんが語っている。目新しい情報はこれといってないが、たくさんの写真が掲載されていて、眺めていて飽きない。東京子ども図書館の様子なども紹介されている。初期のかつら文庫で、石井桃子が子どもたちに本を読み聞かせている写真がある。隣に座っている女の子は、阿川佐和子だそうだ。
 全作品リストを見て驚くのは、著作にしろ翻訳にしろ、「現在入手不可」なものが数えるほどしかない、ということ。石井桃子だからあたりまえ、のような気もするが、よく考えればこれはものすごいことである。
 この号ではもうひとつ、気になる記事がある。「人気作家ギャラリー&インタビュー」として、長谷川義史が取り上げられているのだ。ご存じの方はご存じの、南河内万歳一座のポスターやチラシの絵を描いているイラストレーターである。
 万歳一座が好きだった奥さんに勧められて、自分で描いたやつを持ち込んだんだって。そしたら制作の人が気に入ってくれた、と。そのポスターの絵を絵本の編集者が見て(「錆びたナイフ」のやつ)、絵本を書くことになった。
 アクの強い、豪快なタイプの絵柄、埋め尽くし系の画面なのだけど、ふしぎと素直に目に入ってきて、いやみがない。おおらかで豪快に見えて、実際はかなり緻密に構成を練った上で描かれているのだろう。『やまださんちのてんきよほう』なんか、好きだな。